エンタメ

『スッキリ』終了で“朝の情報戦争”が激化。エンタメ路線、関西では振るわず

軽視できない関西の視聴率

NiziU

NiziU 2023年壁掛けカレンダー/BYJ

『スッキリ』自体の視聴率も好調とは言い難かった。『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)、『めざまし8』(フジテレビ)の後塵を拝し、3位に甘んじる週や日も目立つようになっていた。  明らかに悪かったのは関西の視聴率。新聞社の支社や支局と違い、テレビ局のネット局は別会社。その発言力は強く、低視聴率が長く続くことを許さない。ネット局の視聴率も情報番組の存廃に関わっている。  11月4日(金)から同10日(木)までの『スッキリ』『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)『めざまし8』(フジテレビ)の関東、関西、名古屋の平均視聴率を見てみたい(ビデオリサーチ調べ)。 ■『スッキリ』(午前9時半までの1部) 関東   世帯5・0%、個人全体2・7% 関西   世帯4・7%、個人全体2・5% 名古屋  世帯5・5%、個人全体2・9% ■『モーニングショー』 関東   世帯8・9%、個人4・8% 関西   世帯6・3%、個人3・4% 名古屋  世帯5・2%、個人2・6% ■『めざまし8』 関東   世帯4・4% 個人全体2・4% 関西   世帯6・1%、個人全体3・5% 名古屋  世帯6・0%、個人全体2・8%

エンタメ情報でコア層の支持を集めるも

『スッキリ』は関西では大きく引き離されて3位。これが長く続いている。  2020年に女性グループのオーディション「Nizi Project」を放送するなど『スッキリ』はエンタメ情報を重視した。だからコア層(13歳から49歳の個人視聴率)に強かった。T層(10歳から19歳)とF1層(20歳から34歳)もトップだった。  けれど、それは関東の話。関西の視聴者は『モーニングショー』の硬派調のニュース、あるいは『めざまし8』の生活者目線のニュースを欲した。  また、『スッキリ』は若い層をターゲットにしているのに、番組は開始から17年が過ぎた。局側は老舗番組と若い視聴者の間に溝が生じることを危惧したのではないか。  MCの加藤浩次も53歳。『モーニングショー』の羽鳥慎一が51歳で『めざまし8』の谷原章介が50歳だから、一番年長になってしまった。若い視聴者から年齢が離れた。これも終了の理由だろう。どんな番組にも寿命や耐用年数はある。
次のページ
昨年だけで2度のBPO審理に
1
2
3
4
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

記事一覧へ
おすすめ記事