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『スッキリ』終了で“朝の情報戦争”が激化。エンタメ路線、関西では振るわず

アイヌ問題が投げかけた番組の問題点

 それより、はるかに大きいのはBPO(放送倫理・番組向上機構)の審理に入る放送を、昨年1年間で2度もしてしまったこと。しかも同1月から同3月までの僅か2カ月の間である。やはり番組の耐用年数が過ぎたと見られても仕方がない。  昨年7月、BPO放送倫理検証委員会は『スッキリ』の昨年3月の放送にアイヌ民族を傷つける差別的な表現があったという意見を出した。番組にとって痛恨だったのは「差別問題に関する感度のアンテナの低さ」を指摘されたことだ。根元的に問題があるとされてしまった。  視聴者の中にはBPOを軽視する声もあるが、テレビ界にとっては最高裁判所のようなもの。運営資金も事務方のスタッフも自分たちで出している。スポンサーもその意見を大いに気にする。だから、各局はその決定を極めて重く受け止める。

ペットサロン問題はいまだ審理中

 ペットサロンに預けられた犬がシャンプー後に死んだ問題も6月のBPO放送人権委員会が審理入りした。放送は昨年1月だが、今が審理の真っ最中。まだ終わっていないのである。  サロンの経営者は「事実と異なる放送」とし、局側は「十分な取材をしている」と主張。対立している。もしも経営者の意見が正しかったら、事実を歪曲していることになるので、大問題になるだろう。  こう考えると、『スッキリ』が終わるのは不思議ではない。
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朝の情報戦争は終わらない
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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