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『スッキリ』終了で“朝の情報戦争”が激化。エンタメ路線、関西では振るわず

キー局の存在感を裏付ける情報番組と生放送

『スッキリ』終了が発表されたあと、「情報番組が次々と終わるのではないか」という声が上がっているが、あり得ない。朝の情報番組の視聴率を合計すると、夕方のニュース全体と同じくらい観られている。ニーズがある。在宅勤務やフレックスタイム勤務の増加などにより、ニーズはより高まっている。  そもそも今の時代に、ニュースと情報番組を区別すること自体が不毛なのである。ニュースが芸能やグルメ情報を扱うよりになり、情報番組が政治から外交まで取り上げているのだから。見せ方が違うだけ。  実はスタッフにも大きな違いはない。『モーニングショー』は報道局でつくっているし、フジの情報番組をつくる情報局は報道局と1960年代から頻繁に人事交流をしている。  加えて動画などの新たなコンテンツが出てきた時代だからこそ「情報」と「生放送」はテレビにとって大きな武器になるのだ。巨大資本の動画配信会社はドラマはつくれるものの、在京キー局レベルの情報番組はつくれないからだ。

朝の情報番組の競争はますます激化する

 さらに情報番組には「長時間の中で何だって出来る」という強みもある。「Nizi Project」もそう。やろうと思ったら、ドラマもバラエティも番組内で出来る。こんな便利な代物を局側がわざわざ手放すはずがない。  それでも朝の情報番組をやめ、連続ドラマの再放送を流したらどうなるか。視聴率はある程度、獲るだろう。だが、収益は大きく落ち込む。誤解している向きもあるが、制作費のかからない番組にわざわざ高額のCM料を払うスポンサーなど存在しない。視聴率とは別問題なのだ。  視聴率は上位であるテレ朝の2022年度第1四半期(今年4月から6月)の売上高は日本テレビ、フジ、TBSの次で、主要4局では最下位。これも平日の日中に『相棒』など2本の連ドラの再放送をしているうえ、『モーニングショー』も含めて視聴者の年齢層が高く、スポンサーに歓迎されないからだ。  朝の情報番組の競争はますます激化する。『スッキリ』の後続番組が長時間化し、強化されるからだ。他局は対抗策を練るに違いない。 <文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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