更新日:2022年11月22日 16:36
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「医学的根拠ない商品も…」フェムテックイベントが炎上。医師と運営企業を取材した

過剰PRでフェムテック本来の意義が見失われるリスクも

※イメージです(以下、同じ)

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 重見氏は、エビデンスに乏しいだけでなく、謳い文句が過剰な出展物もあったと指摘します。2025年までには500億ドル(約5兆円)規模になるとも予想されているフェムテック産業。市場が急拡大することでマーケティングに特化しすぎている点も指摘されています。 「『フェムテック』はデンマークの女性起業家によって使われ始めた言葉とされており、もともとビジネスの分野で発生した言葉なだけに、今のような傾向はある程度仕方のないことだと思います。むしろビジネスとしての拡大の動きがなければ、分野として成長が止まってしまう側面もありますので、必要な面とも言えるでしょう。  しかし過剰な商品PRや、本来の意味からかけ離れてしまった商品が売り出されてしまうと、もともとのフェムテックが持つ意義も見失われてしまう危険性があることも忘れてはなりません。そうしたことを防ぐため、海外では多くの場合に、医療機器承認を目指して開発が進められたり、食品医薬品局の認可があったり、データをしっかりと提示していることが前提とされています」  また重見氏は「本当に女性の課題解決に役に立つ商品であれば、過剰なPRは必要ないはず」と話します。 「テクノロジーを利用し、女性の健康課題を解決してくれるような商品・サービスであれば、過剰なPRをしなくとも消費者に十分訴求できます。そのあたりが日本のフェムテック業界では実行できていないからこそ、現状の問題が生まれてしまっているのではないでしょうか」

“痛くない乳がん検査”など革新的なフェムテックも

マンモグラフィーのイメージ では、本来のフェムテックが持つ意義にのっとった商品とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。 「例えば、痛みを感じずにマンモグラフィー(乳房専用のX線検査)を受けることのできる検査機器の出展を見かけました。患者さんからは、マンモグラフィーの検査をする際に発生する痛みがストレスになっているというお話をよく耳にします。それを取り除くことができ、かつこれまでのマンモグラフィーと同等の精度で検査ができるのであれば、それは非常に革新的なフェムテックであると言えます。こうした製品は、今後も世の中に広まってほしいですね」  最後に、消費者側である私たちが、今後いかにしてフェムテックと向き合うべきかについて聞きました。 「まずは、その商品が効果をデータとして開示しているかどうかを必ず確認してほしいです。なかには信ぴょう性のないデータをPRしている商品もあるので、自社アンケートだけでなく、客観的な調査で結果を出しているかどうかに注目してみる必要があると思います。  もう一つは医療で同じ問題が解決できないか、という視点を持つこと。例えば『生理痛がひどい』という悩みを抱えているとしたら、ピルの処方など、高い効果が見込める治療が病院で、しかも保険診療で受けられます。フェムテックだけに解決策を求めるのではなく、一人ひとりが一番確実で安全な策を探してみてもらいたいです」
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