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俳優・奈緒が抱える「表現しきれないことへの後ろめたさ」

■この秋はちょっと波に乗ってみようかな

――ところで、主役として現場に立つのはどんな気持ちですか? スタッフのみなさんからすごく見られている感覚があります(笑)。不思議なんですけど、ぼーっとしたり、暗い顔をしたりできないな、というか。普段はけっこうぼーっとした性格なのですが(笑)。あとは常に笑っていたいです。 笑うと一体になるというか、自分が笑っていると周りのみなさんも一緒に笑ってくださると思うんです。もちろん、真剣に取り組む瞬間もあると思いますが、それを超えてみんなで笑い合えるような、チームとして一丸となれるような現場にしたいですね。 ――意地悪な質問かもしれませんが、いつも穏やかな奈緒さんが普段の生活でイラッとするときはありますか?  みなさんが思うほど私はいい人間じゃないですよ(笑)。イラつくというより、怒って悲しくなることはたまにあります。けど、役者ってそういった感情を役や演技に昇華できているところがあって。 ――どういうことでしょう。 なぜなら、物語以上のイラつくことって、現実ではなかなか起きないと思うんですよ。 ――確かに言われてみるとそうかもしれません。 あまりにも劇的なので、自分のなかではそこで昇華できている部分があるんです。例えば、台本を読んでいて「そういえばこの気持ちわかるかも」と思う瞬間があるとして、現実の自分にはできないけど、こうして言語化して相手にぶつけられるのってすごいなって思うし、ならば挑戦してみよう、と役に引っ張られてスッキリできるというか(笑)。 ――現実でイライラを抱えているサラリーマンは、芝居をしたら発散できるかもしれませんね。 そうかもしれないですね(笑)。ありだと思います。 ――奈緒さんはどうしてそんなに堅実というか、浮わついてないんですか? 普通の人なら主役ということだけでもう舞い上がってしまうと思うのですが。 最近、すごく体が硬くなって整体に行ったんですけど、整体師の方に「自分自身を責めいている人の体の硬さだ」って言われたんです。ちょうどその頃やっていた舞台で演じた役の影響なのか、きっとそのときの私は足元を見ようとしすぎて、体が固まっていたのではないかと。 もともと私って「波」にうまく乗れないのが課題というか、ついつい「地に足がついてない」と思って、流れに抗おう抗おうとしてしまいがちなんです。なので、この秋はもうちょっと波に乗ってみようと思っています。あんまり変わらないかもしれませんけど(笑)。
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株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter

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