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パチンコで1000万円超を貯金したのに…元パチプロの転落人生――波乱の人生トップ10

一発逆転を狙ってFXで散る

 そんな久保田さんにトドメが刺さったのがFXだった。 「一発逆転を狙ってFXの勉強してデイトレにシフトしようとしたんだけど、あっけなかった。半年くらいでパンク。2013年のアベノミクス効果で円安になった相場でしっかり勝てなかったんだから、オレには才能がなかったんだよ」  FXで貯金を使い果たし、パチンコ・パチスロでは収支もままならない。かくして久保田さんは働かざるをえない状況に陥ったのだが、専門学校を出てから一度も働いたことがない30代半ばのおっさんにまともな仕事はなかった。 「履歴書に書くことがないんだよ。22歳くらいまでやってたカラオケ屋のバイト、風俗経営なんて書けるか?って。結局、履歴書なんて関係なく雇ってくれるとこなんて、期間工くらい。車の工場とか、福島の除染作業にも行ったな。  コロナ前にはタクシー運転手になろうと思ったけど、コロナでタクシー業界が厳しくなっちゃった。でも、コロナになってからはウーバーの配達員でけっこう稼げたんだけど、最近はさっぱり」  久保田さんは最近、清掃のアルバイトとたまにウーバーの配達をしてなんとか食いつないでいるのだとか。

なぜしくじったのか……自問自答する

 そんな久保田さんに自身の「しくじりポイント」はどこだったのか聞いてみた。 「ダメだったらまたスロットで食えばいいって甘えた考えを持ったことじゃないかな。あの時、スッパリ足を洗って風俗で食ってやる、風俗王になってやるくらいの気持ちが必要だったと思う。そのくせもう一回プロで食おうと思って戻ったのが、スロットじゃなくてパチンコのマックス機であったり、FXに走っちゃったり。どうせならしっかり勉強してスロットに戻ればよかったんだよね。  あと、感じたのはパチプロって職業はずっと続けているからプロであり続けられるんじゃないかってこと。もしもだよ、仮に天性の才能としてパチプロの才覚がある人がいたとしても、いきなりプロにはなれないでしょう。勝ったり負けたりを繰り返して、ホールのクセや台の挙動、クギの読み方、設定推測とか覚えてようやくその才覚って花開くわけ。2年間とはいえ、ブランクはパチンコ・パチスロで食うためのいろんな勘を狂わせた。ずっと打っているから仕様が変わっても対応できるし、出玉規制とかあっても金銭感覚が付いていけるんじゃないかって」  パチンコもパチスロも5年以上触っていないという久保田さん。では、これからの人生プランをどう考えているのだろうか。 「もう少し経済的な状況がコロナ前くらいに戻って来たら、タクシー運転手に応募してみるつもりだったけど、今やっている清掃のバイト先から契約社員のお誘いももらっている。清掃のバイトをやってみて思ったんだけど、清掃って行為がけっこう好きなんだよね、自分は。頑張ればフランチャイズで独立開業もできるみたいだし、もう一度本気で頑張ってみてもいいかなぁって思ってる」  45歳、まだまだ人生を諦めるのは早いだろう。久保田さんの更なる奮起に期待したい。 取材・文/谷本ススム
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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