更新日:2022年12月28日 03:05
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日本と違う海外の年末年始。フォンデュ料理が定番の国は? 元旦はクリスマスの“オマケ”扱い

クリスマス・大晦日に人気のフォンデュ料理

チーズフォンデュ

チーズフォンデュ

 クリスマスや大晦日にスイスで好んで食される料理といえば、何といってもチーズフォンデュだろう。チーズフォンデュは日本でもメジャーになりつつあるが、フォンデュ用チーズを白ワインとともに鍋で溶かし、それがとろ~りと溶けたところで小さく切ったパンや茹でたジャガイモを細長いフォークの先に刺して、チーズにからめて食べる料理である。  そして同様にチーズを使ったラクレットもよく食べられている。ラクレットはもともとスイス南部ヴァレー州(ヴァリス州)の郷土料理で、ラクレットチーズという巨大な丸いチーズをトロトロに溶かした後、ジャガイモやピクルスの上にかけて一緒に食べる。  さらに、チーズではなく肉が主役の「フォンデュ・シノワーズ」という料理も人気がある。「シノワーズ」とは「中華風」という意味で、野菜や肉のブイヨンで薄切りの肉をさっと通して食べる「火鍋」風というか“スイス版しゃぶしゃぶ”。鶏肉・豚肉・牛肉がよく食べられるが、基本的にどんな肉でもいいのか、何年か前の大晦日にレストランで食べた肉フォンデュには、ワニ肉とカンガルー肉もあって驚いた。
フォンデュ・シノワーズ

フォンデュ・シノワーズ

 いずれにせよ上記の3つの料理に共通するのは、すべて大勢でわいわいと一緒に楽しく食べられるところ。日本の鍋のように、家族や気の置けない友人たちと、料理を囲んで談笑しながら美味しい物を食べたいのはスイスでも同じようだ。

新年の運勢を占う『ブライギーセン』とは

占い遊び用キット

占い遊び用キット。画像のものは錫(すず)でできているので「チン(錫)ギーセン」とある

 スイスの、特にドイツ語圏では年末ならではのユニークな遊びもある。それは蝋などを溶かして水の中に注ぎ入れ、固まった形によって新年がどんな1年になるか占う「ブライギーセン」という遊びだ。  以前は鉛を溶かして占っていたので「ブライ(鉛)ギーセン(注ぐ)」という呼ばれ方が一般的だったが、有毒であるという理由で2018年よりEU圏内では鉛成分が0.3%以上含まれる商品の販売が禁じられ、スイスもそれに倣っている。そのため現在は蝋や錫(すず)でできた商品が販売されている。  ところでこの占いのやり方は簡単。銀色の小さな蝋や錫の塊を付属のスプーンに載せ、ロウソクなどの火であぶり、鉛が溶けて液体になったところで、それを冷水に落とす。すると液体だったその塊が様々な形に変化して再び固まる。そこでその冷えて固まった塊から、新年はどういう1年になりそうか占うといったものだ。  商品にはたいてい“解読用リスト”のようなものが付いており、たとえば「剣」の形は仕事でトラブル、「月」の形だったら夢が叶う、そして「さいころ」の形に固まったら宝くじで賞金ゲット!といった感じで色々と書かれている。  だが実際そんなうまい具合に分かりやすい形に冷え固まることはあまりない。そこで自分に都合よく解釈したりして占っていくこととなる。こうして友人や家族、親戚たちと、それぞれの占い結果についてあれこれ好き放題コメントを言い合って遊ぶのは結構楽しい。
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カウントダウンと元日はどう過ごす?
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ライター。2009年よりスイス在住。雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアにてさまざまな情報発信中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。
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