ライフ

競輪選手をクビになった50歳男性。引退した元選手たちの「その後の人生」を聞いてみた

職安通いにマッサージ師、さらには政治家も!

大﨑さん

2022年8月19日に京王閣競輪場で撮影した現役時代の大﨑さん。なお、この時のレースが現役最後の1着となった

 年齢無関係で競走得点が低いと問答無用でクビになるサバイバルな「代謝制度」。毎回誰かが引退しているわけだが、その人たちが第二の人生として選ぶ職業にはどのようなものが多いのか。また、歳を重ねてからの引退でも再就職先は見つかるのだろうか? ——競輪選手が引退した後はどんな仕事に就くことが多いんですか? 大﨑:引退した時の年齢によっても違うんですが、30代の選手だったら普通に職安に行く人もいます。その歳ならまだ仕事もあるんで。逆に歳がいってからの引退だと再就職先が見つかりにくいから、競輪開催時の検車員や従事員、それと競輪場の警備員をする人が多いです。あとはトラックやバスの運転手、自転車屋さん、実家が商売しててその家業を継ぐ人、退職金で飲食店を始める人とかですかね。僕の兄弟子も引退後にお好み焼屋をやってます。 でも、選手時代にお金を貯めてアパートやマンション経営を始めていたりする選手もいるので、必ずしも引退した後の選手が就職先を探して働き始めるというわけでもないですね。 ——意外な職業に就いた人はいますか? 大﨑:マッサージ師になる人もいますね。鍼灸の学校に通って免許を取って開業する人とか。現役時代から身体をケアするためにマッサージには通っているので、お客の気持ちもよく分かっているし。ちなみに、現役の選手で兼業としてマッサージ師をやっている人もいますよ。 ——兼業で別の仕事をしている選手も多いんですか? 大﨑:わりといますよ。タクシードライバーや俳優、プロレスラーをやりながら走っている選手なんてのも。あと、意外なのが政治家。今だと沖縄の屋良選手が村議会議員をやっています。練習もしなくてはいけないので、かなり忙しいみたいです。

50歳で娘にパソコンの使い方を教わる日々

 選手を引退した後の第二の人生はさまざまあれど、やはり働き慣れた場所、人間関係が出来上がっている競輪場での仕事に就く人が多い。大﨑さんも高知競輪場の警備員という選択肢があったものの、彼はその道を選ばず新たな挑戦に向けて動き出したのである。 ——それでは大﨑さんは今後どのような仕事をするんですか? 大﨑:元選手の先輩で西村正彦さんという人がいるんですが、その人が会社を作ったんですよ。高知競輪のYouTubeチャンネルを配信などを行っている会社なんですが、今度、高知でGⅠが開催されるので人手が足りないから手伝いに来ないかと誘われまして。
高知競輪

「高知競輪ちゃんねる」のスタッフとして働く大﨑さん

その時点で考えていた他の仕事が「高知競輪の警備」か「JKAの従事員」。でも従事員は、タイミング的に今は新しい人は雇えないと。それで警備の仕事についても検討したんですが、全く違う面白そうなこと、新しいことにチャレンジしたいなと思いました。それで西村さんのお誘いを受けて、パソコンを買って娘に使い方を教わりつつ、YouTube配信のスタッフをやっています。
次のページ
クビになった選手目線で見る「競輪」とは
1
2
3
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。
X(旧Twitter):@sagyosakurai

記事一覧へ
勝SPA!
おすすめ記事