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過熱する中学受験「中高一貫校1000万円の教育投資」で偏差値はいくらあがる? 井川意高×藤沢数希

先取り学習の受験勉強はタイパが悪い

藤沢数希

藤沢数希

藤沢:現代の受験の必勝法は先取り学習で、とにかく早く受験範囲を終わらせて、入試問題レベルの演習をなるべくたくさんする、ということなんです。でも、これは実は一番効率が悪いともいえて、たとえば中学生がちょっと勉強したら連立方程式なんかわかりますが、小学生に理解させるにはそれよりずっと長い時間がかかる。だから、先取りよりも、受験直前の1年だけ猛勉強して一気に帳尻を合わせたほうが、費やす総勉強時間で見れば、圧倒的にタイムパフォーマンスは良くなります。まあ、もちろん間に合わないことも多いですけど。 井川:それまで全然勉強してなかったのに、高校3年生の1年間で猛烈に詰め込んだら早慶に合格できたなんてのもよく聞きますね。 藤沢:そうですね。ただ、やっぱり東大レベルになるとなかなかそうはいかないですね。英語・数学・国語に理系なら理科2科目、文系なら社会2科目で、しかもすべてで論述が必要な記述式の試験なんですよね。 井川:たしかに周りにいた東大生を見ても、地頭がいいのはもちろん、努力の土台ができている人間が多かったように感じます。いざとなったらスパートがかけられる。それが中学受験によって培われたものなのかはわかりませんが。 藤沢:そういう意味で東大がすごいのは、ボトム層でも全員が最低限、あの難しい入試をクリアしているから相当レベルが高いということですね。文系でもちゃんと数学ができる。だからこそ僕は不思議なんです。東大卒の井川さんがなんでカジノにハマったのか。期待値がマイナスのゲームは、やればやるほど負けるということが決まっているのに……。 井川:痛いとこ突きますね。ただ、一つだけ反論させてもらうと、最近のカジノ理論ではそういう「大数の法則」ではなく「ゆらぎ理論」というのがあります。大数の法則で必ずマイナスになるなら、たった2~3日カジノでプレイしただけで20億円近い金額のチップを積めるはずがないですから。運のゆらぎが上向いた時にどう乗っていくか。まあ、勝っている時にやめられるかどうかは、また別の話ですけどね(笑)。 井川意高 1964年、京都府生まれ。東京大学法学部卒業後、1987年に大王製紙に入社。2007年6月、大王製紙代表取締役社長に就任、2011年6~9月に同会長を務める。社長・会長を務めていた2010年から2011年にかけて、シンガポールやマカオにおけるカジノでの使用目的で子会社から総額約106億8000万円を借り入れていた事実が発覚、2011年11月、会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕される。懲役4年の実刑判決が確定し、2013年10月から2016年12月まで3年2カ月間服役した。著書に累計15万部のベストセラーとなった『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』(双葉社、のちに幻冬舎文庫)や『熔ける 再び そして会社も失った』 (幻冬舎単行本)のほか、堀江貴文氏との共著『東大から刑務所へ』(幻冬舎新書)がある。 ツイッターは@mototaka728 藤沢数希 外資系金融機関を経て、作家。メルマガ「金融日記」管理人。最新刊『コスパで考える学歴攻略法』(新潮社)が発売中。ほかに『外資系金融の終わり──年収5000万円トレーダーの悩ましき日々』(ダイヤモンド社)、『損する結婚 儲かる離婚』(新潮社)など著書多数。 ツイッターは@kazu_fujisawa
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