更新日:2023年03月14日 16:28
エンタメ

空耳アワー“おしりの人”を直撃「タモリ倶楽部は大人の文化祭。青春でした」

空耳役者のやりがいとは

有田久徳――撮影の時点で、ウケるウケないはわかるもんなんですか? 有田:大体わかりますね。演技どうこうというより「これは聞こえるぞ!」っていうのはウケる感じがわかります。それを、どう映像にしてさらに面白くするか、スタッフさんも僕ら役者も気合が入りますね。 ――投稿者は、演技指導や映像については書いていないなかで、映像に昇華するスタッフの方と、それを短時間で伝わる演技にする役者さんの、不思議な共同作業ですよね。 有田:そうですね。投稿者さんにお会いしたこともありますよ。僕は小さな飲食店をやっているんですが、そこで投稿者さんがオフ会をやってくれたりとかして交流が持てました。タモリ倶楽部はコアなファンの方が多いので、空耳のVTRをまとめて持って来てくれるような方が、全国にいるんですよね。そういう方が居てくれるのはやりがいになりますね。 ――作品がウケた時はやりがいになると思うんですが、撮っている最中にやりがいはありますか? 有田:僕は、芝居の上手さで呼ばれているわけではないんです。表情や動きで面白くしてくれると評価していただいて呼んでもらっていると思うんですよ。その中で、僕の表情や動きで、現場の雰囲気が高まっていくことがあって、それはやりがいでしたね。 ――あの短時間で、声なしで伝えるのは難しいですよね? 有田:声だけではなく、表情も使えない時がありました。勃起したことを表現する演技だったんですが、声は使えない上に強盗役だったので目出し帽をかぶらされて。 ――表現のツールに制約が多いですね。 有田:動きだけでそれを伝えようと思って、ビクビク震えるという表現にしました(笑)。

空耳役者とタモリの交流

――15年もの長きに渡って出演して、タモリさんとはどんな交流がありましたか? 有田:実は、1回だけしか会ったことないです。撮影したVTRを、タモリさんが見る現場には僕らがいることはありませんので。 ――1回だけなんですか!?では逆に、その1回はどんな流れで? 有田:僕が結婚して子供が生まれたので、制作会社にご挨拶に行こうと思って連絡をしたら「今から、タモリさんと空耳の収録をするからおいでよ」と言われて行ったんです。それで、収録中にカメラの横に立っていたら、僕が出ていたネタを見た後に、タモリさんが「今日は彼がきてくれているから、投稿者にはTシャツをあげますね」といじってくれました。 ――撮影後に交流はあったんですか? 有田:いえ、タモリさんもすぐ次に行かれたので交流はできなかったですね。でも、タモリさんに認知していただいていたのは嬉しかったですね。 ――タモリさんの認知はありましたが、世間の認知はいかがでしたか? 有田:毎年「空耳アワード」として、優秀作がまとめられるんですが、そこで「尻男優」という肩書きで紹介してもらったんですよ。そのオンエアの後から、杉並区でやたら「あ、おしりの人ですよね?」って声をかけられるようになりました。 ――杉並区限定なんですか?(笑) 有田:そうなんですよ。渋谷や新宿ではほとんど声かけられないんですけど、杉並区でやけに認知度が上がりました(笑)。 ――確かに、高円寺や阿佐ヶ谷に住んでいる人は、タモリ倶楽部が好きなイメージはありますね(笑)。 有田:阿佐ヶ谷で、知らないおじさんに「おしり見せてよ」って言われたことがあって、人通りも多い場所だったので「ここではちょっと」と行って、路地裏に入って見せたこともありましたよ。 ――見せたんですか!? サービス精神がすごいですね! 有田:でも、タモリ倶楽部が好きな人にしか知名度がないので、杉並区のラーメン屋さんで食事している時に、横にいた若い男性に「空耳のおしりの人ですよね」って言われて、一緒に写真を撮って握手もしたんですが、店主はそれを見てキョトンとしてました(笑)。
次のページ
タモリ倶楽部終了の知らせを聞いて
1
2
3
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ