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“とんでも新入社員”予備軍を未然に察知する。SNS「裏アカ」調査の実態

現地で聞き込み調査を行う場合も

現地調査

現地調査のレポートのサンプル

 裏アカ調査を通じて、金銭トラブルの有無やネットワークビジネスの勧誘、迷惑行為やトラブルなどがないかをチェックすることに加え、企業は採用候補者が住む地域の近隣住民へ聞き込みを行うなど、本格的な現地調査を依頼することも。 「探偵のような張り込みはしないものの、実際に採用候補者の住んでいる場所に出向き、近隣住民に対して聞き込みを行っています。仮に採用候補者がマンションに住んでいる場合は、住人数名にも聞き込みを実施します」  近隣住民の反応のほか、採用候補者が住む家の前がゴミで溢れていないかなどの生活環境の確認もチェックしているそうだ。  また過去の事例として、中途採用の候補者の自宅に行ったところ、職務経歴書には一切書かれていなかった仕事が発覚。その場所を拠点にして無店舗型性風俗特殊営業が行われていたこともあったとか。 「現地調査は『採用候補者の本人にバレない』ことが何よりの鉄則です。聞き込みの際も『〇〇さんはこの辺りで何か迷惑している様子はないですか』と、個人名では基本的に聞きません。また、本人と出くわさないように注意も払っています。平日の日中や週末に現地へ行き、だいたい1〜2時間で調査を済ませるようにしていますね。ただ、新卒採用ではなく中途の場合、最近だとリモートワークを行っていることもあり、その辺りは留意しつつ、現地での聞き込みを実施しています」

「プライバシーの侵害」から「SNSヘの投稿に責任を持つ」

企業調査センター 昨今、モラルに欠けた迷惑動画の投稿が社会問題化しており、その流れが企業の採用活動にも大きな影響を与えている。  その一方で、焦点になるのが「プライバシーの侵害問題」だ。角田さん曰く、Sトクを始めた当初はサービスに対する批判が殺到したという。 「いっとき、会社のホームページがサーバーダウンするほど、批判が集中していました。SNSのアカウントを特定されることで、採用に関係のないプライベートまで把握されることに対し、多くの人が嫌悪感を抱いたのが、こうした出来事が起きた根底にあったと思っています。それが、次第に『誰でも見られるネットの世界で投稿する内容には責任を持とう』という風潮に変わってきたことで、Sトクも支持されるようになったんです」  過去にも、“バカッター”と呼ばれる人がウケ狙いで、コンビニや飲食店でバイトテロを起こす事案が発生していた。だが、回転寿司大手のスシローで起きた迷惑動画事件をきっかけに、投稿者の法的な責任が追及されるようになり、もはや「軽い気持ちでやった」という言い訳は通じなくなったといえる。  これこそ、情報収集やコミュニケーションツールとして日頃から使っているSNSの「諸刃の剣」といわれる所以である。裏アカ調査は今後より一層求められてくるのではないだろうか。 <取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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