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侍ジャパンに潜む「3つの不安要素」。勝利の鍵を握る指揮官の心中は

投打に好調で理想的なチームに

 打線が機能して、投手陣が持ち前の力を発揮するという理想的な形での全勝突破である。もともと、このチームは大会に入る時点では完成してはいなかった。試合数が少なく、状態を上げられていない選手が数名いたが、4試合を重ねるうちに徐々にチームとしての形を作り上げてきた印象だ。  序盤に得点を上げられない時は投手陣が踏ん張り、逆に、先発投手が先に点を取られた時は打線が奮起する。理想的なチームづくりが進んでいる証左で、第4戦目はほぼ完璧な勝ち方だった。先にも書いたが、初回に3点本塁打で先制して、投手陣が落ち着いてゲームを作り、また打線が加点としてという展開。どんな戦いにも順応できる状態で準々決勝を迎えられるであろう。

トーナメント戦に向けた3つの不安要素

 ただ、課題もある。まずは4番の村上がまだ本調子ではないというところ。「4番」とメディアが騒ぐので、余分なプレッシャーがかかってしまっているのも気がかりなところである。スタメンから外すのか、打順を変えるのか、継続するのか。指揮官の栗山英樹監督がどういう決断をしていくのだろうか。 「まだ練習もあるので状態を確認してからになりますけど、一人の選手がどうのこうのではない。全体のバランスとして一番勝ちやすい打順を探るだけなので、ゆっくり考えたいと思います」  大会前の強化試合で村上を6番に下げた試合があったが、そこでは本塁打を放つ活躍を見せている。打順の変更は選択肢として大いにあり得るだろう。
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新聞社勤務を経て、2003年にフリージャーナリストとして活動開始。『Number』(文藝春秋)、『slugger』(日本スポーツ企画)などの紙媒体のほか、WEBでも連載を持ち、甲子園大会は21年連続、日本シリーズは6年連続、WBCは3大会連続で取材している。2018年8月に上梓した「甲子園という病」(新潮新書)が話題に。2019年には「メジャーをかなえた雄星ノート」(文藝春秋)の構成を担当。 Twitter:@daikon_no_ken

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