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侍ジャパンに潜む「3つの不安要素」。勝利の鍵を握る指揮官の心中は

クローザー候補の離脱は痛い

 2つ目はここへきて怪我人が2人出てしまったことだ。クローザー候補だった栗林良吏(広島)が腰の張りを訴えて離脱。代わりに山崎颯一郎(オリックス)が招集された。この穴をどう埋めていくか、気がかりなところだ。おそらく、昨季37セーブをあげた大勢(巨人)が務めることになるが、これまで1試合の登板のみにとどまっているのがどういう影響を及ぼすだろうか。  3つ目は捕手の選択だ。第1ラウンドの4試合は、甲斐拓也(ソフトバンク)と中村悠平(ヤクルト)を併用している。どちらも名捕手であることに間違いはないが、バッティング面も考慮していくと中村に分がある。実は中村は打席数が少ないとはいえ、OPSはチームトップの好成績を残している。甲斐がスタメンに出ると、なかなか代打を出しにくくなる。  事実、これまで中村は途中交代しているが、甲斐は2試合ともフル出場している。スタメンに出ると代えにくい選手なのだ。その中でどういう選択が正しいのか。後ろに置いておくほうがいいかもしれない。

采配ミスが許されないステージに

 準々決勝以降の戦いがこれまでと異なるのは、負けたら終わりになるため、一つの選択ミスが命取りになることだ。1次ラウンドの4試合ではたとえ調子が悪くても、今後のためにという采配は許される部分があった。つまりこれからの課題は、勝負の一手を栗山監督が打てるかどうかだ。 「この4試合は一つやられるっていう覚悟をしながら、バタバタしないように自分たちの野球をやっていこうと思っていた。ただそうは言っても1試合でもやられたらこれで終わるんだという思いで自分の中でやっていたので、なんとなく選手を使っているように見えるかもしれないけど、こっちは相当に考えて一つ一つ覚悟してやってきたつもり。自分としては(今までも)絶対負けないというふうにやってきたんで、これからも采配は同じようにやって行きたい」  1次ラウンドの最終戦の後、栗山監督はそう答えている。
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勝利の鍵は「栗山監督の“決断”」
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新聞社勤務を経て、2003年にフリージャーナリストとして活動開始。『Number』(文藝春秋)、『slugger』(日本スポーツ企画)などの紙媒体のほか、WEBでも連載を持ち、甲子園大会は21年連続、日本シリーズは6年連続、WBCは3大会連続で取材している。2018年8月に上梓した「甲子園という病」(新潮新書)が話題に。2019年には「メジャーをかなえた雄星ノート」(文藝春秋)の構成を担当。 Twitter:@daikon_no_ken

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