更新日:2023年03月30日 17:24
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ユキヒョウを追い、標高4000mの高山に挑む双子姉妹「パワーの源はユーミン」

クラウドファンディングの返礼品に、カメラを通した「野生のユキヒョウ調査の共同体験」

ユキヒョウ姉妹が初めて仕掛けた赤外線カメラが捉えた写真。マーキング跡に設置したカメラには、奥にいる母親に倣って3頭の仔たちも口を開いて匂いを嗅ぐ仕草(フレーメン)をし、情報を収集している姿が写っていた。(撮影地/モンゴル)©︎twinstrust

ユキヒョウ姉妹が初めて仕掛けた赤外線カメラが捉えた写真。マーキング跡に設置したカメラには、奥にいる母親に倣って3頭の仔たちも口を開いて匂いを嗅ぐ仕草(フレーメン)をし、情報を収集している姿が写っていた。(撮影地/モンゴル)©︎twinstrust

 姉妹はその後、研究者・コピーライターというそれぞれの専門性を活かした任意団体「twinstrust」を設立。同時に、ユキヒョウの魅力を伝え、保全活動を行う「まもろうPROJECT ユキヒョウ」を立ち上げた。そして、イラストレーターの馬込博明さんに「ユキヒョウさん」というキャラクターを描いてもらい、「ユキヒョウのうた」のPVとロゴが完成。2013年5月からクラウドファンディングを開始。野生のユキヒョウの調査には、自動撮影用の赤外線カメラが必須になる。その購入費用を募るためのクラウドファンディングだった。 「返礼品として『ユキヒョウのうた』のCDや、赤外線カメラで撮った映像や写真をお渡ししました。単なるプロジェクトへの寄付ではなく、カメラを通してみんなで野生のユキヒョウの調査をしているような、そんな体験を作りたいと思ったんです」(さとみさん)  そして「絶滅の危機に瀕しているユキヒョウを助けたい。そのために生息地のモンゴルで保全調査をしたい」という姉妹の想いに共感した140人の支援者から、111万円の支援金が集まった。 「撮影した映像や写真は支援者への返礼品としてお渡ししたほか、日本でユキヒョウを飼育している動物園で展示していただき、野生動物に関しての教育活動にも協力することができました」(同)

過酷な環境に挑む双子のパワーの源は「ユーミン」

  高山 姉妹はその後、2013年11月のモンゴルを皮切りに、モンゴル、インド・ラダック、ネパール、キルギスと、ユキヒョウの生息地である国境の高山地帯へ挑んでいく。そんな各地での研究・冒険の10年にわたる記録をまとめた『幻のユキヒョウ 双子姉妹の標高4000m冒険記』(扶桑社)を4月16日に上梓する予定だ。  都会で生活していた双子姉妹が、まったく違う世界で戸惑い、現地の人々と交流しながら、難関をひとつひとつクリアして野生のユキヒョウ調査を行う姿が描かれている。彼女たちが、過酷な環境をものともせずに突き進んでいく原動力はどこにあるのだろうか。 「私たち2人とも、子どもの頃からユーミン(松任谷由実さん)が大好きなんです。日本にいても生息地にいても、常に脳内のBGMは『ユーミン』。壮大な景色も、そこで暮らす人々の文化も、無意識のうちにユーミンの歌詞を通して心に刻んでいます。過酷な環境でも姉妹で乗り越えてこられたのは、常に新しいことに挑戦し続ける好奇心とポジティブな精神をもつユーミンに憧れていたから。たぶんこれからも道に迷うことがあると思いますが、姉妹で冒険を続けていくのだと思います。いくつになっても、二人三脚で、ユーミンを聴きながら」(さとみさん) 【ユキヒョウ姉妹(木下こづえ・木下さとみ)】 双子姉妹の姉・こづえさんは京都大学野生動物研究センター助教(2023年4月より同大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授)、保全・繁殖生理を専門とする野生動物研究者。妹のさとみさんは広告会社の電通でコピーライターをつとめる。姉妹の専門性を活かした任意団体「twinstrust」を設立、ユキヒョウの魅力を伝え保全活動を行う「まもろうPROJECT ユキヒョウ」を立ち上げた。4月18日に『幻のユキヒョウ 双子姉妹の標高4000m冒険記』(扶桑社)を上梓予定。
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※3月31日(金)19:25~19:55、ユキヒョウ姉妹が「ウチのどうぶつえん」(NHK Eテレ)に出演。再放送は4月1日(土)9:20~9:50。
番組Instagram https://www.instagram.com/nhk_uchidou/

幻のユキヒョウ 双子姉妹の標高4000m冒険記

体力も能力も感性もほぼ同じ双子が、それぞれに違った職業と視点で“幻の動物”ユキヒョウの足跡を追う双子姉妹の冒険記

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