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「障害者手帳の不正利用」で炎上した“レンタル障がい者”当人を直撃、その思惑は

相手の弱い部分をさりげなくカバーする、レン障さんの気遣い

 あーるさんは、レン障さんいわく「少なめ」という女性依頼者の一人だ。あーるさんもレン障さんに会ってみたかったという。  理由は「厚労省が『介助者とは家族や友人、医療関係者が前提』という見解を出していた。障害者を世の中から分けた存在になることを助長してムカついた」という行政への反発の気持ちから。また「こんな炎上しやすいビジネスをなぜ始めたのだろうという興味もあった。  あーるさん自身も「握力が5kgしかない」上肢の障害を持っており、障害者手帳を持っている。また、香料などの化学物質を嗅ぐと倒れてしまうほどのアレルギーが出る体質でもある。  あーるさんのおごりで、2人でタイ料理を食べた。「(レン障さんは)おごってもらうくせに経済状況を心配してくれた」とあーるさんは笑う。またビジネスにはしていないこともわかった。  その後「以前からなんとなく行きたかった」水族館へ行った。水族館では「香水がきつい人が近づいてきそうな時に、率先して声をかけてくれた」と言う。あーるさんは香水のきつい匂いをかぐと動けなくなってしまう。しかしここでもレン障さんのエスコートがあったようだ。  最後に河川敷を散歩した。「堤防を登る時に(あーるさんの握力が弱いため)手を貸してくれた。優しくて気の利く方だった」と言う。「本当に楽しかったし、また遊びたい。次はレン障さんが淹れたコーヒーを飲んでみたい」と満足げに微笑んだ。

交通費と飯をおごってくれる友達がいたっていい

笑顔で障害者手帳を見せるレン障さん

笑顔で障害者手帳を見せるレン障さん

 レン障さんへの批判は、ほとんどネット上でのものだ。対面で批判されたことはほぼないという。批判的な意見は、主に障害当事者たちと思われるアカウントのものが多かった。とくに障害者手帳を持っていると思われる人から「介助者は本来、家族や友人、医療関係者のこと。ネットで募るのは、本来の使い方ではない」という意見が目立った。  レン障さんは「事情があって、家族には頼めない」と言う。さらに「別に、交通費と飯おごってくれる友だちがいたっていいじゃん」とも。    レン障さんはブログにこう書いている。「現実で遊ぶ友人となると交通費や食事代、その他少なくない経費がかかってしまう。『お金がない』という理由で、今まで一体いくつの遊びの誘いを断っただろうか? いつもお金がないから、と誘わなくなった友人はいないだろうか? だったら『交通費出してあげるからおいでよ』と言ってくれる人のほうが、自分に興味をもっている点で友だちになりやすいのではないかと思う」と、自分に興味を持ってレンタルしてくれる時点で友人になりうるとする。
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当事者が引け目を感じるような福祉はムダじゃないのか
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