更新日:2023年04月19日 16:17
エンタメ

日テレvsフジの水曜ドラマ戦争に異変アリ。若い男性層を取り込めなかった『水ダウ』の壁とは

水曜10時のドラマ戦争は2年目に突入

それってパクリじゃないですか?

『それってパクリじゃないですか?』番組公式HPより

 水曜午後10時台(以下、水10)の連続ドラマ対決が始まった。芳根京子(26)主演の日本テレビ『それってパクリじゃないですか?』(以下、『それパク』)と波瑠(31)主演のフジテレビ『わたしのお嫁くん』(以下、『お嫁くん』)である。  第1話の見応えは甲乙付けがたいもので、視聴率も拮抗した。それぞれの視聴率は『それパク』が個人3.3%で世帯6.0%、『お嫁くん』が個人3.4%で世帯6.1%。僅差ながら個人も世帯も『お嫁くん』が上回った(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。  ちなみに視聴率の標準指標は個人で、世帯はテレビ界の実務で既に使われていない。世帯では視聴実態も分からないに等しい。視聴率をより細かく考察したい。すると、興味深いことが浮き彫りになる。  まず、フジが水10を蓮ドラ枠にしたのは1年前で、これまでに4作品を放送したが、視聴率が日テレ作品を超えたのは初めて。ほかにも初のことがある。主演が女性である点だ。  フジが過去に放送した4作品は、間宮祥太朗(29)主演の『ナンバMG5』(昨年4月期) 、町田啓太(32)主演の『テッパチ!』(同7月期)、 山田涼介(29)主演の『親愛なる僕へ殺意をこめて』(同10月期)、竜星涼(30) の『スタンドUPスタート』(1月期)だった。その全てが日テレに大敗を喫した。

当初は若い男性視聴者をターゲットに

 もっとも、そもそもフジは最初から日テレと真っ向勝負をするつもりがなかったのである。水10を連ドラ枠にする際、フジの編成側は「メインターゲットは若い男性」と説明していた。  だから、若い男性の視聴者が共鳴しそうな若手俳優を次々と主演に起用した。テーマも「ヤンキーの友情」や「自衛隊の青春」など若い男性視聴者が好みそうなものにしてあった。  一方、日テレの路線は大きく違う。北川景子(36)による2016年7月期の『家売るオンナ』から門脇麦(30)の前作『リバーサルオーケストラ』まで、27作連続で主演は女優(ダブル主演も含む)。主に社会で活躍する女性の姿が描かれた。だから放送枠は一緒でも日テレとフジは共存が可能のはずだった。  ところが、現実にはフジの水10が低迷。3月8日に放送された『スタンド――』は個人1.7%、世帯3.0%だった。壁となったのは『リバーサル――』というより、同じ時間帯のTBS『水曜日のダウンタウン』(以下、『水ダウ』)だった。若い男性視聴者を奪われた。 『水ダウ』は若い男性の支持が厚い。同じ3月8日の同番組の視聴率は個人4.2%、世帯7.2%と平凡だったが、T層(13~19歳の個人視聴率)は5.3%もあった。横並びで断トツのトップである。  一方、同日の『スタンド――』のT層視聴率は0.4%に過ぎなかった。ターゲット層の個人視聴率がこれでは全体の個人視聴率のも上がらない。ちなみに『リバーサル――』のT層は1.7%だった。
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『水曜日のダウンタウン』の牙城崩せず
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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