お金

ヴィクトリアマイル&安田記念のレース別攻略法。同じ東京マイルでも異なる特徴を競馬の達人が徹底解説

ヴィクトリアマイルはスローペースになりやすい

競馬

2008年安田記念。ハイペースを好位追走から抜け出したウオッカが後続に3馬身半の差をつけて快勝 
写真/橋本健

 ヴィクトリアマイルは春の牝馬路線の目標レース。「牝馬は一瞬のキレ味に優れる」と言われるように、牡馬ほどタフさはないものの軽い走りで瞬発力を武器にする馬が多いのが特徴。そのため、当レースだけでなく牝馬限定戦は道中ゆったり流れて瞬発力を引き出す傾向にあります。 ・ヴィクトリアマイルの2013年~2022年の前半、後半3ハロン平均ラップ 前半3ハロン34.5秒 後半3ハロン34.2秒  先ほどのNHKマイルカップとは異なり、ヴィクトリアマイルは後半3ハロンのほうが前半3ハロンよりも速く、後傾度の高いレースということがわかります。そのため逃げ馬や先行馬が粘るケースも多く、また後半のラップが速いレースを差し切る必要があり、上がり3ハロン32秒台など究極の瞬発力が問われるレースになります。  2020年のヴィクトリアマイルはまさに「らしいレース」としてイメージしやすいでしょう。前半3ハロン34.2秒、後半3ハロン33.9秒と後半のほうが速くなり、1着アーモンドアイ上がり3ハロン32.9秒と究極の瞬発力を見せて圧勝。2着には3番手で進めたサウンドキアラが入線しています。  スローペースになりやすいヴィクトリアマイルは速い上がりを使える馬、もしくは先行馬に有利なレースとなります。

スピードを持続させる安田記念は最もレベルが高い

 最後は安田記念です。このレースは春の古馬マイル王を決める一戦であり、先のNHKマイルカップやヴィクトリアマイルからも参戦する馬がおりまさにこの2つを合わせた性質を有しています。 ・安田記念の2013年~2022年の前半、後半3ハロン平均ラップ 前半3ハロン34.5秒 後半3ハロン34.6秒  NHKマイルカップが前半速く後半が遅い、ヴィクトリアマイルが前半遅く後半速いというどちらかに比重が寄ったレースであったのに対し、安田記念は前半も後半も一貫して速いという性質を有しています。つまり、速い流れを追走してゴールまでそのスピードを持続し続けるという、非常にレベルの高い走りを要求されるレースとなります。  ヴィクトリアマイルの解説の際に牝馬は一瞬の切れに優れるという話をしましたが、速いペースを追走すると切れ味が削がれるケースが見られ、その証拠にアーモンドアイは安田記念に2回出走していずれも勝ちきれていません。  そんななか、安田記念連覇を果たしたウオッカは牡馬顔負けのスピード持続力を有しており、特に前半3ハロン34.6秒、後半3ハロン34.8秒と持続力が問われた2008年の安田記念は圧巻でした。  ちなみに、同年のヴィクトリアマイルでウオッカは2着に敗戦。ドバイ帰りという要因はあったにせよ、前半3ハロン35.7秒、後半3ハロン33.7秒のスローペースで持ち味が活きなかったという点も、ヴィクトリアマイルと安田記念の違いを表す結果といえるでしょう。  安田記念においては特に牝馬の場合、ヴィクトリアマイルで切れ負けした馬を狙うのがオススメです。  レースが違えば求められる適性も違う。これも競馬の醍醐味であり、面白いところですよね。ぜひ参考に予想を楽しんでいただけると幸いです。 文/安井涼太
各種メディアで活躍中の競馬予想家。新刊『安井式上がりXハロン攻略法(秀和システム)』が11月15日に発売された。『競走馬の適性を5つに分けて激走を見抜く! 脚質ギアファイブ(ガイドワークス)』『超穴馬の激走を見抜く! 追走力必勝法(秀和システム)』、『安井式ラップキャラ(ベストセラーズ)』など多数の書籍を執筆。
Twitter:@RyotaYasui

安井式上がりXハロン攻略法安井式上がりXハロン攻略法

(秀和システム)

1
2
勝SPA! 
おすすめ記事