更新日:2023年11月28日 20:14
仕事

「あの人、かなり強烈ですよ」開店前からシャッターを叩く迷惑老人客に、先輩バイトが“まさかの対応”

しかたなくシャッターを上げてみると…

 近所迷惑にならないように美月さんが何度も「オープンはこれからです」と丁寧に説明しても客はさらにシャッターを叩く。しかたなくシャッターを上げて、ドアを開錠すると、70代のその客はドアをいきなり開けて、自分が決めた席にドスンと座り、「いつもの」と一言。履きつぶした便所サンダルがテーブルの下から見えていた。 「いつも注文しているものが勝手に出てくると思っているようでした。前のオーナーから引き継ぎが一切なかったので、『申し訳ございません、まだオープンしておりません。そのためご注文もうかがえないのですが……』と説明しても、『お前は使えないな! オーナーはどうした!』とさらに怒鳴るんです」  事情を説明しても「いいから早くもってこい!」と、ますます怒鳴り散らす。目の前の客は怒鳴らないとしゃべれないタイプかもしれないと悶々とする美月さん。すると客は新聞や雑誌コーナーから朝刊を取ってきて読み始めると、少しずつ落ち着いてきた。

「あの人、かなり強烈ですよ」

木村美月

木村美月さん。父が経営・運営業務を引き継いだ喫茶店でアルバイトをしていた

 そこで美月さんが「お客様はオープン前に入られました。私たちはいま仕込み中ですので、少しお待ちください」とやっと店側の意向を伝えてキッチンに戻ろうとすると、前オーナー時代から働いているバイトの男性が「おはようございます」と出勤してきた。 「バイトの男性に事情を説明すると『ああ、あの人ですね。かなり強烈ですよ』と含みを持った言い方をしたので、気になってきました」  どうやら彼によると「いつもの」というのは、モーニングのことだという。そこでオープン時間を10分ほど過ぎた頃に出したら、むしゃむしゃと食べながら新聞を読みふけった。  ほっとして次々と来店する他の客たちへの対応に追われていると、問題の客が読んだ新聞を元の場所に戻してから「○○新聞はないの?」と別の新聞を探し始めた。他の客が読んでいるのを見つけると、「おれ、朝一番でここに来たのよ。先に読む権利あるんだ」と屁理屈をつけては他の客から新聞を取り上げ、自分の席に戻って読む。美月さんが慌てて取り上げられた客に「申し訳ありません」と謝ると、「いつものことだよ」とため息交じりの表情を浮かべる。
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モーニングを完食したら鞄から黒ニンニクが…
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コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪

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