お金

親の遺産4000万円を元手に投資、暗号資産で12億円。詐欺で全財産を失った男の「天国と地獄」

毎晩2リットルはお酒を飲んでいた

――騙した人への恨みは持ってないのでしょうか。全財産を奪われたにもかかわらず、淡々とお話しされています。 よしさん:基本的にこの世界は弱肉強食だと思っています。自分は弱者だっただけで、強くなればいいだけの話です。それに恨んだって前には進まない。お金も戻ってきません。  まあ最初は、放心状態にはなりましたね。毎晩、2リットルはお酒を飲んでいました。ずっと無気力状態で1年くらい棒に振りました。流石にこのままじゃいけないと思い、今年はじめにお酒を飲むのはやめました。

「まいばすけっと」で100円バナナを買う日々

――いまはどのように生活しているのでしょうか。
よしさん

美女からモテていた頃のよしさん(よしさん提供)

よしさん:「まいばすけっと」でいかに安くごはんを食べるかを考える日々ですよ。鯖缶とプロテインバーでタンパク質を確保し、あとはバナナで糖質をとる。100円のバナナの横には、200円のオーガニックバナナが置いているけど、100円の差が大きくて買えませんね。子どもの頃は、あんなにオーガニックを食べていたのに(笑)。正直、食に関しては、いろいろなお店を食べ歩いてきたので、もうこだわりはありません。消費者として得られる感動には上限があるように感じます。だから次は自分が提供者側に立ちたいと思ってます。  そんなどん底の日常ですが、心が動くことがないかといえば、そうでもないです。例えば映画をみて、普通に泣いたりもしますね。特に絶望のまま復活できずに人生を終えるような映画が好きです。そういう選択肢も自分のなかにあると思えると、ラクになれるのかもしれません。
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天国と地獄を味わって…これからの人生
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編集プロダクション、出版社を経て独立。ビジネス系からカルチャー系まで多岐にわたって執筆する。趣味は映画観賞、自伝研究、筋トレ

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