その他にも、対峙した相手を惑わせるためにも周囲の選手がパスコースをつくる動きは、当たり前に行わなければならない。 今季、日本人プレーヤーとしてかつてないほどの記録を残した古橋を起用した場合にも同様のことが言える。さらに言えば、古橋は三笘や久保とは違いドリブルなどで突破できる力は持ち合わせておらず、周囲から良いパスを供給してもらいそれをゴールにつなげるのに長けた選手だ。これまでA代表に招集されたときも、古橋が望むところ望む形でパスを受けられないことが多かった。活動期間の短い代表チームでは、そのすり合わせはなかなか難しいものと思われる。 だからこそ、すでに関係性を確立した選手同士を起用すべきである。今回で言えば、古橋に対しては旗手怜央を同時にプレーさせたほうが、互いに良い結果は出るだろう。今季の旗手は古橋に対して4つのアシストを記録しており、古橋へのアシスト数としてはチームトップタイを記録している。セルティックで培ったこの良き関係性を日本代表でもぜひ見せてもらいたい。 旗手は川崎時代に三笘とも良好な関係性を築いており、それを踏まえると左サイドで三笘と共に起用することにも可能性を感じる。日本代表では現在左サイドバックのタレントを捜索しているところなので、その候補として旗手を試してみるのも面白いと考えている。 その他にも関係性というところをピックアップすると、久保と堂安のコンビネーションも期待できる。細かなパスワークは狭いスペースでも相手を崩すことができ、ゴール前に引いた相手には効果的なと思われる。 これまでの森保監督の采配は、個々の力を発揮しやすいようなポジションを考えた起用は見られた。そのなかで新たな関係性を築き上げていこうと考えていたのかもしれない。しかし、4年間代表監督を務めた経験で、新たな関係性をつくり上げるには代表チームでは時間が足りないということも十分に理解していると思われる。だからこそ、もう一歩踏み込んで良好な関係性を築き上げている選手同士を起用するということを試してもらいたい。 ＜TEXT／川原宏樹　写真／日本雑誌協会＞スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーＤＸ」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる