更新日:2023年07月24日 14:37
エンタメ

夏ドラマ3作品の“爆死説”に異議アリ。テレビマンが注目しているホントの評価

『最高の教師』のホントの評価

最高の教師

番組公式HPより

 夏ドラマの話に移りたい。まず『最高の教師』。7月15日放送の第1話は個人3・9、T層2・1%、F1層2・6%(世帯6・5%)。世帯は低いが、テレビマンたちには微塵も関係ない。  T層とF1層の数字はまずまず。2つとも2%が合格ラインと考えていい。同16日放送のテレビ朝日『ポツンと一軒家3時間スペシャル』は個人7・2%、T層0・4%、F1層1・4%(世帯12・3%)だから、T層とF1層はそれより上。『ポツンと一軒家』は高齢者が好むから、こうなる。世帯視聴率だけしか見ないと、番組の真の人気度は分かり得ない好例である。 『最高の教師』は高校の改革をテーマにしており、高齢者に観てもらうのは難しいから、最初から世帯視聴率が高くなるはずがないのだ。世帯視聴率を狙っていない。この放送枠の春ドラマは『Dr.チョコレート』、冬ドラマは『大病院占拠』だったが、みんなそう。ちなみに日テレは真っ先にあらゆる書類を個人視聴率で統一した局である。

ドラマもターゲットを絞る時代

 この作品のスポンサーは明治や人材派遣のホットスタッフなどで、あらかじめ若い視聴者を狙っている。個人視聴率の指標化で誰が観ているのか分かるようになったので、狙った視聴者に観てもらえたら、それでいいのだ。 「すべての年代が楽しめる番組にすべきだ」という声もあるかも知れない。しかし、好みには世代間格差があるので不可能に近い。雑誌に置き換えると分かる。高齢者はファッション誌をまず読まないし、若者は健康雑誌に興味がない。また、映画『交換ウソ日記』を観る高齢者は少数派だろうし、同『仕掛人・藤枝梅安』を観る若者もそう多くはないはずだ。ドラマもターゲットを絞る時代になっているのである。
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『18/40』のホントの評価
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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