更新日:2023年07月24日 14:37
エンタメ

夏ドラマ3作品の“爆死説”に異議アリ。テレビマンが注目しているホントの評価

『シッコウ!!』『真夏のシンデレラ』は?

シッコウ!!

番組公式HPより

 東京地裁の執行官の世界を描いたテレ朝の話題作『シッコウ!!~犬と私と執行官~』(火曜午後9時)の個人視聴率も見てみたい。伊藤沙莉(29)が主演し、織田裕二(55)が共演している。織田が主演でないのが話題になったが、知られざる世界を視聴者と同じ立場の主人公が、垣間見るという形にするのはドラマのセオリーの1つ。  半面、40代以上に人気がある織田の登場によって個人視聴率に影響が出ている。同18日放送の第3話の世帯視聴率は9・2%と高いものの、個人5・4%、T層0・5%、F1層1・8%。若者には苦戦している。若者には織田が身近に感じられず、執行官の世界も硬く感じられるからではないか。  ただし、こちらのスポンサーは日清オイリオ、はなさく生命などだから、こちらは最初から年齢の高い視聴者も想定していている。T層、F1層は飛びつかない作品があったっていい。若者向けドラマばかりになってしまったら、テレビの可能性は狭まる。  森七菜(21)と間宮祥太朗(30)がダブル主演中の『真夏のシンデレラ』は同17日放送の第2話が個人3・2%、T層2・3%、F1層2・4%(世帯5・4%)。メインターゲットと思われるT層とF1層は悪くない。  ただし、真夏の男女の恋物語で、それを多くの中高年以上が好むとは考えにくいので、個人視聴率はより下がるかも知れない。高齢者が観ないと世帯視聴率も落ちる。  現代の若者たちの実像を活写していたら、中高年以上も興味を抱くはずだが、観た限り厳しい。エリートの男性たちと高卒の女性たちを別世界扱いにする設定自体、時代錯誤ではないか。貧乏な女性とお金持ちの恋をコミカルに描いた『王様に捧ぐ指輪』とは異質に違いない。  個人視聴率にはドラマの人気度のみならず、時代も浮かび上がる。
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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