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「要求通りにしないと他社に切り替えを検討する」取引先のカスハラを“謝罪”に一転させた意外な出来事

 店や企業に対して、“顧客”という立場を利用しながら理不尽なクレームをつけたり、無理難題を押し付けたりするカスタマーハラスメント(以降、カスハラ)。その多くは客や消費者によるものだが、企業間で取引先の担当者が“契約打ち切り”などをチラつかせ、カスハラまがいの態度で無茶を要求してくるケースも……。

「10%単価を下げてほしい」と突然の値下げ交渉

テーブルウェア

※写真はイメージです。以下同

 箸や紙ナプキンなどのカトラリー製品の営業担当をしていた野村英二さん(仮名・30代)。主要取引先A社は、売上の約50%を占めていたそうだ。 「A社に依存している状況でした。売上確保のために売価は限界まで低く設定しており、利益率の少ない商品売買を行っていました」  ある日、A社の仕入れ担当者に呼び出された野村さん。そこで意外な提案をされることに……。 「『消費税や販売管理費が上がりうちも大変だから、単価を10%下げてほしい』と、突然の値下げ交渉がありました。私は、元々薄利で売買しており、価格を下げることは難しいことを説明しました」

要求通りにならなければ「他社に切り替えを検討する」と圧力

商談で厳しい表情を見せるビジネスマン すると、「他社ならもっと安い値段で売ってくれるよ。要求通りにしないと他社に切り替えを検討するから。そうなったら責任取れるの?」と圧力をかけてきたという。 「私は、提案されたことを上長に報告しました。失注リスクは怖いものの非現実的な価格での供給は難しいとの見解で、再度交渉を行うことになったんです」  しかし、A社の担当者は全く引かなかった。 「『値下げができないわけはない。利益を取り過ぎている。下げられない理由を分かるように説明しろ!』と強気の姿勢で、再度値下要求が始まりました。原材料や運賃などさまざまな変動費が高騰しており、どうしても難しいと丁寧に説明したのですが……」
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取引先の態度が一変
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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