仕事

「要求通りにしないと他社に切り替えを検討する」取引先のカスハラを“謝罪”に一転させた意外な出来事

取引先の態度が一変

困惑 数日後、A社の別担当者から野村さんに連絡があった。どうやら、野村さんの会社の売価や製品スペックなどの詳細を競合他社にリークし、指値で他社にアプローチしていたことが判明したのだ。 「同時に、私が働いている企業は改善意欲がなく、A社に対して協力的ではないという情報が発信されていたんです。社内で協議をし、元々決まっている価格を顧客側の都合で一方的に無理な値下げを要求されたことや、他社にリークする行為に納得がいかないということで、A社に異議申し立てをすることにしました」  現状の改善ができない場合、下請法違反で行政に相談する旨を強い姿勢で訴えた。すると、A社の担当者は態度を一変させたそうだ。 「価格を下げるのはあくまでもお願いベース。無理であれば仕方がないが受け入れる」と低姿勢で対応してきたという。 「競合他社へのリークは認めませんでしたが、伝え方が悪かったとの謝罪があり、結果として現状維持での取引継続となりました」  売上依存しているA社からのカスハラに対して、屈せずに謝罪に繋げることができて“スカッとした”と、野村さんは笑顔で締めくくった。

仕事上の“口約束”がトラブルに発展

女性の後ろ姿 外資系メディアの取材担当者である田中弘子さん(仮名・40代)が、新人の頃の苦い思い出を聞かせてくれた。 「広告クライアントのイベント会社の取材をすることになっていました。今思うと、私の段取りがよくなかったと分かるのですが、当時は若かったこともあり、たんなる口約束でも“それで大丈夫”だと思っていたんです」  田中さんは、クライアントのイベント会社と関係があり、イベントに出演するタレントの芸能事務所のマネージャーと友人関係だった。そのため、マネージャーから広報担当者Bに取材する旨を伝えてもらう約束をしていたという。 「しかし、当日の現場になって肝心のイベント会社側には何も伝わっていないことが分かったんです。マネージャーが失念していたようで、その件を機に気まずくなりました」
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公衆の面前で怒鳴られて…
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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