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節電効果は月1万円?東京都の太陽光パネル設置政策に、住宅メーカーも批判の声

パフォーマンス政策にしか過ぎないのでは

 環境省資源循環局の担当者が説明する。 「部品のうち、1割は埋め立てなどの最終処分としています。現時点で2030年に予測される大量廃棄には対応は難しいのが現状です。廃棄の量が多ければ、リサイクルに回せる量が減るなどありますから。ただ、高度なリサイクル技術を開発する事業者もでてきており、環境省でも1/2を上限とした補助金を出しています」  前出の須山たかし議員が話す。 「パフォーマンスだとしても、それが結果的に脱炭素問題の解決とつながればいいのですが。最低2キロワットの発電容量ですし、新築一戸建て住宅のほとんどが太陽光パネルをつけていますから、条例化して義務化までいう必要なんてあるのですかね」

専門家「東京都が慎重にならなければ」

太陽光パネル

大野輝之常務理事。1979年東京都入庁し、「ディーゼル車NO作戦」企画立案など国に先駆ける都の環境政策を牽引した

 このような都の施策は政策的に有効なのか。公益財団法人「自然エネルギー財団」の大野輝之常務理事はこう話す。 「2キロワットでいいのか。いまだに懸念点が残ります。日本は先進国と比べて、脱炭素の取り組みが遅れている印象ですから、首都の東京が思いきってやることに意味があるのです。そうすれば他の都道府県に取り組みが広がりますから」  大野常務理事は1979年東京都入庁後、「ディーゼル車NO作戦」の企画立案、「温室効果ガスの総量削減と排出量取引制度」など、都のエネルギー政策の根幹を作ってきた。大野常務理事は続ける。 「ただ、義務化などの不安な声が建築主から聞こえているのは事実で、都はその情報周知不足です。なぜその施策をしなければいけないのか。現在も都民から不安の声が寄せられていますから、これから内容をさらに煮詰め、有効性のある政策実施になればと願っています」    都民の血税が正しく使われることを切に願うばかりだ。 <取材・文/日刊SPA!編集部> 【須山たかし議員】 東京都議会議員(八王子選挙区)、環境・建設委員会所属。早稲田大学社会科学部卒業後、民間の特許事務所に3年半勤務。その後、政党本部スタッフ、参議院議員公設秘書など国政に従事し、蓮舫(れんほう)参議院議員の秘書を務めた
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