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元ラグビー日本代表キャプテンが語る、「ブライトンの奇跡」を生んだチーム作りの秘訣

年齢、国籍も違う集団をまとめあげるには

 とはいえ年齢や所属チーム、はたまた国籍も異なるメンバーが集まる日本代表。意志の統一には様々な困難もあった。 「キャプテンとしては、1日1回は必ず全員に声をかけ、選手が相談しやすい関係性づくりに注力しました。ただ、ミーティングひとつ取ってもスタンスは人それぞれ。特に顕著なのが、日本人と外国人との発言力の差でした。  そこで取り組んだのが、小さな島を作って少人数でアウトプットする機会を設け、議論に慣れさせることでした。そして、ただ仕事のためにコミュニケーションをとるのではなく、その人のパーソナリティーを知るためにコミュニケーションをとるんだ、という意識づけも徹底しました。  様々な人間がいるので配慮はしつつ、だけど遠慮はしない。これが有機的なチームづくりに欠かせないことだったと思います」

「セールスエバンジェリスト」として営業の情報を広める今井氏

 さらに今井氏は、「東芝ブレイブルーパスでのキャプテン時代には、所属選手の不祥事もあったと思います」と切り込む。 「当時、チームメイトの窃盗や薬物の使用があり、チームは解体の危機に陥りました。僕自身、チーム作りに問題があったのではないかと責任を感じ、『辞めたほうがいいんじゃないか』という気持ちもありましたが、それを決めるのは監督でしたので、僕はキャプテンとして誠心誠意お詫びをし、とにかく正直な気持ちをお話しました。  これに関しては、今でも正解はわかりませんが、監督にもう一度ゼロから頑張ろうと言われた際、限りある時間の中でベストを尽くそうと改めて決心することができました。この経験が、後に日本代表キャプテンを務めたときにも活きたと思います」  最後に、ラグビー日本代表でのキャプテン経験を通じて学んだことや、組織で活躍できる人材の特徴について語った。 「大切なのは、コントロールできることとできないことを見抜く力です。試合で勝てるかどうかわからないし、そもそも試合に出られるかどうかも監督次第。自分でコントロールできないことで一喜一憂するのではなく、どんな時も常にベストを尽くして学びを得られる人が強いと思います。  そういった意味で、俯瞰的に物事を考えられる人はレジリエンス、つまり苦難を跳ね返し、乗り切る能力が高い。この意識を自分自身やチーム作りにも反映させていくことが大切だと思います」  目標に向けた目的の設定と、どんな時も学びをやめない姿勢。これが、「チームで勝つ」ために必要不可欠な要素だ。 【廣瀬 俊朗氏】 株式会社 HiRAKU代表。大阪府立北野高校、慶應義塾大学、東芝ブレイブルーパスでプレー。‘07年には日本代表に選出され、’12~‘13年ではキャプテンも務めた。現在はラグビーの枠を超え、学生の部活動サポートから組織の企業研修まで、これまでの経験を活かしたチーム・組織作り・リーダーシップのアドバイスやサポートを行うなど、多岐にわたるプロジェクトに取り組む 【今井晶也氏】 株式会社セレブリックスセールスカンパニー執行役員 カンパニーCMO。「セールスエバンジェリスト」として、法人営業に関する研究、執筆、基調講演等を行う。専門は営業、プレゼンテーション、コミュニケーションスタイルなど。著書に営業本のベストセラーとなった『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』(扶桑社)があり、‘22年には単著二作『お客様が教えてくれた「されたい」営業』も出版 取材・文/日刊SPA!取材班
株式会社セレブリックスの執行役員マーケティング本部長として、コーポレートブランディング、事業企画、マーケティング、営業領域を管掌。また、セールスエバンジェリストの肩書で、主に法人営業と新規営業における、セールスモデルの研究、開発、講演を行う。Twitter/@M_imai_CEREBRIX

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