「モノを売る」営業は古い。価値が高いのは「買い物アドバイザー」になれる人
かつてはサラリーマンの代名詞だった「営業」という仕事。必死にアポをとって足しげく取引先を回り、ときには夜も接待に精を出す……。そういった旧来の営業のイメージは、もはや過去のもの。
「新型コロナの影響で、お客様が『会ってくれない』時代には、もはや御用聞きのような営業パーソンは門前払いになるだけです。これからはお客様に『会う価値がある』と思ってもらえる人でなければ、商談にすら進めない」
そう話すのは、これまで1100社に対して営業支援を行ってきた企業・セレブリックスの今井晶也氏だ。23年間の同社の歴史の中で積み上げたノウハウを著書『セールス・イズ 科学的に「成果をコントロールする」営業術』でも解説している今井氏だが、これからの営業職は「売り方ではなく、“お客様の買い方”を考えなければいけない」と話す。営業のプロフェッショナルである今井氏に、これから価値を高める営業パーソンの条件を聞いた。
――新型コロナの影響もあって「営業活動が難しい」という声をよく聞きます。
今井「特に新規営業が難しくなったという声が多いですね。セレブリックスでは営業パーソン約400人を対象に『新型コロナ流行後の営業の悩みは何ですか?』というアンケートをとったのですが、上位に並んだのは『商談数の低下』『新規電話をかけにくい風潮』『新規電話でのアポ獲得数/率の低下』という声でした。
今は正解がない時代です。『今までのやり方ではダメだ』となんとなく感じてはいるけど、じゃあどう改善したらいいのかがわからない。上司や先輩に聞いても解決方法は出てきません先輩たちだってこんな状況は経験がないのでアドバイスができないわけです。
それはお客様も一緒です。変化が激しい中で『今、何をどう買えばいいのか』がわからないから、現状を維持しようというバイアスが強くなってしまうんです」
――そういった状況下で将来に不安を抱く営業マンも多いと思います。これから営業パーソンとして重宝されるのはどんな人でしょうか?
今井「『ラベリング』がしっかりしている営業が今後、重宝されると思います。言い換えるなら、自分の強みや立ち位置をしっかり把握し、認知してもらえている営業です。
営業といっても業界や『法人向け/個人向け』、『直接販売/間接販売』、『単価の違い』『必要なのは提案なのか/交渉なのか』など、業務内容は多岐に渡ります。これらは陸上競技で例えれば、同じ走る競技でも短距離とマラソンくらい、別の仕事です。
単に『法人営業を〇年やってきました』というだけでなく、分野ごとに『自分の強みはコレだ』というものをハッキリと言える営業になることです」
――とはいえ、そういった強みがない人もいるはずです。営業としての「ラベル」をつくるためにはどんな意識が必要ですか?
今井「仕事内容を可視化することでしょうね。営業という仕事は成績こそ可視化しやすいですが、実は個人のスキルは曖昧なことが多いんです。実際に営業パーソンに『あなたはこの1年で何かできることが増えましたか?』と聞くと、明確に答えられる人が少ない。
逆に言えば、身に付いたスキルや反響を得た仕事を可視化するとその人の強みが見えてきます。『マーケティングオートメーションツールを導入して業務効率化ができた』であったり、『メルマガのコンテンツを改修して需要を掘り起こした』など、言語化するとその人の個性になり、自分をアピールするうえで有利な材料として使えるはずです」
営業マンとしての「ラベル」があるかないか
営業パーソンとして重宝されるのは?
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株式会社セレブリックスの執行役員マーケティング本部長として、コーポレートブランディング、事業企画、マーケティング、営業領域を管掌。また、セールスエバンジェリストの肩書で、主に法人営業と新規営業における、セールスモデルの研究、開発、講演を行う。Twitter/@M_imai_CEREBRIX
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