元ラグビー日本代表キャプテンが語る、「ブライトンの奇跡」を生んだチーム作りの秘訣
‘23年9月8日、ラグビー生誕200周年を記念するラグビーワールドカップが幕を開ける。そんな節目となる大会を前に、元ラグビー日本代表でキャプテンも務めた廣瀬俊朗氏が都内でトークイベントを行った。スピーカーはベストセラー『セールス・イズ 科学的に「成果をコントロールする」営業術』の著者であり、営業術のプロフェッショナルである今井晶也氏だ。
営業界で活躍する今井氏と、現在は㈱HiRAKUの代表としてビジネス界でもリーダーシップを発揮する廣瀬氏。そんな2人が登壇するイベントタイトルは、「勝利への道」だ。
業界の垣根を超えて「チームで勝つ」ための組織づくりやマネジメントについて話は白熱した。まず今井氏が廣瀬氏に問うたのは、目的・目標設定についてだ。
「僕が重視したのは、目標ではなく目的です。たとえ『ワールドカップで世界一になる』という目標を定めても、結果はコントロールできません。であれば目標に向けた目的意識を明確にし、プロセスに重きを置いたほうが、選手一人ひとりの成長に繋がると思っています」
廣瀬氏がキャプテンを務め始めた‘12年当時、ラグビー日本代表は過去22年間でワールドカップ未勝利という弱小チームだった。
「チームメイトと話し合い、僕達が決めた目的は『皆の憧れの存在になること』でした。その頃のラグビーワールドカップは一部のラグビー好きしか見ない大会で、他のスポーツでは考えにくいですが、子供たちは高校ラグビーの聖地・花園や社会人チームでの活躍は夢見ても、日本代表には憧れを抱いていない。そんな現状を変えたい、それが自分たちの存在意義だという思いで、みんなが一致団結したんです」
「それがあの奇跡の原動力になったのですか」と今井氏が合いの手を打つ。それは、ラグビーワールドカップ2015で生まれた「ブライトンの奇跡」にほかならない。
日本代表は過去2回の優勝経験を持つ強豪国・南アフリカ共和国を破るジャイアントキリングを起こした。試合を決定づけたのは、同点を狙うか、逆転を狙うかという大一番での判断だった。
「監督はスタンドから指示を出すため、基本的に試合中はキャプテンや司令塔である10番が主な意思決定を行うのがラグビーのやり方です。実はあの時、監督からは同点狙いの指示がありました。しかし、監督の指示に従わなかった。果たしてそれが『皆の憧れの存在になること』なのか? 今こそ日本ラグビーの歴史を変える瞬間じゃないのか? そういった共通の目的意識を持っていたからこそ、僕たちは逆転のトライに踏み切ることができたんだと思います」
2015年大会のタイミングでは廣瀬氏はキャプテンではなかったものの、彼が仲間とともに決めた“目的”が「ブライトンの奇跡」に繋がったのは間違いない。
「奇跡」の呼び水になった目的を重視する意識
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株式会社セレブリックスの執行役員マーケティング本部長として、コーポレートブランディング、事業企画、マーケティング、営業領域を管掌。また、セールスエバンジェリストの肩書で、主に法人営業と新規営業における、セールスモデルの研究、開発、講演を行う。Twitter/@M_imai_CEREBRIX
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