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「半永久的に人目に触れない場所」も。香川県の山奥にあるテーマパークが持つ特殊性

現地の職人の手作りだからこそのクオリティ

オリエンタルトリップ

タシチョ・ゾンの中。精巧に作られた木組は現地の職人が手作りした

それもそのはずで、なんとこの遺跡、ほとんどが現地の職人によって手作りされているという。例えばチベットの寺院は、チベットの宮大工が作ったものを香川に運んできたものだ。もはや現地の人々が作ったならば、これは遺跡の復元というよりも、遺跡そのものだと言ってもよいかもしれない。 この「オリエンタルトリップ」の遺跡らしさはこれだけではない。

立ち入り禁止区域の仏像は「半永久的に人目に触れない」

オリエンタルトリップ

プラサット・ヒン・アルン。中にも空間が広がっている。

エリアの中心には、カンボジアの寺院を模した「プラサット・ヒン・アルン」がある。アンコールワットを思わせるこの寺院は、外壁の装飾がこだわり抜かれていているが、これもまた現地の職人が作ったものである。 現在この遺跡の周りの外側には柵が置かれていて、中に入ることはできない。以前は入ることができたのだが、耐震状の問題で立ち入りが禁止されたのだ。 私が取材した時に聞いた話では、この遺跡の中には、実際にレプリカの仏像などが安置されているという。そうしたものがあるならば、耐震構造を強化して中を開放すれば良いのに、と思ったのだが、現地の職人が手作りした関係上、安易に手を加えることができず、どうしようもないのだという。つまり、この遺跡の中にある仏像は、おそらく半永久的に人目にふれることがないのだ。 人目に触れられず、ただただ香川の山奥に安置されている仏像。なんというか、もはや、本物の遺跡だとしか言えないような気がしてくる。
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「遺跡になったテーマパーク」が点在しているかも?
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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