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“北海道の限界集落”にあるゲストハウス。周りに何もないのに「年間売上は1000万円超」オフシーズンも予約が埋まるワケ

現金収入と自給自足のベストなバランスを探る

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SUPツアーでは「奥尻ブルー」と呼ばれる美しい海を探検できる

――奥尻島では、贈与経済がある程度残っているそうですね。 外崎:都会と比べて、奥尻島では自分の持っている余剰分を与え合うことが多いと思います。例えば、島にはパン屋がなく、妻がパンを焼くのが得意なので、島民に分け与えたら、お礼に魚をもらったりします。移住した当初は海産物がほとんど手に入らなかったので、とても助かりました。島民がゲストハウスに来た時などに、お土産をもらうことが多いですね。 ――奥尻島では、現金収入に頼らなくても、贈与や自給自足である程度の生活ができるのでしょうか。 外崎:いいえ、現金収入なしで生活するのは厳しいと思います。お金がないと家族旅行などもできませんし……。僕は資本主義社会に身を置きつつも自給自足の基盤を作り、家族にとってベストのバランスを模索したいと考えています。例えば、「今年の売上が1000万円だったから、来年は2000万円に増やそう」と考えるのではなく、700万円でもいいんじゃないかと。300万円分の働かない時間を自給自足のために費やしたり、家族との時間に充てるなど。

開業当初はドタキャンも多かった

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外崎さんの長男は未就学児の頃から自分で魚を釣ってさばいている

――ゲストハウスの集客はどのように増やしたのですか。 外崎:2018年に開業した当初は、旅行予約サイトに登録して集客に努めました。しかし、客足は増えず、ドタキャンも多かった。ゲストが来てくださっても宿泊する目的だけで、なかなか僕たちが提供しているサービスの価値を理解してもらえなかったんです。そのため、2年目以降は直接予約に切り替え、積極的にホームページやSNSでゲストハウスや奥尻島の魅力を発信しました。そうしていくうちに、徐々にお客さんが増え、口コミで評判が広がるようになりました。 ――2020年以降、コロナ禍で多くの宿泊業が打撃を受けました。売上に影響が出たのでは? 外崎:僕たちはリピーターの方々に助けられました。売上はコロナ禍も右肩上がりで増え続け、今では年間1000万円を超えています。
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集落存続のために移住者を受け入れ
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大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle

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