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“北海道の限界集落”にあるゲストハウス。周りに何もないのに「年間売上は1000万円超」オフシーズンも予約が埋まるワケ

集落存続のために移住者を受け入れ

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毎晩食事を囲んで行われる交流会は、島民とゲストをつなぐ貴重な機会となっている

――ゲストハウスの隣にシェアハウスをオープンした経緯を教えてください。 外崎:僕たちが住んでいる神威脇地区は、戦後まもなく北方四島から命からがら引き揚げてきた人たちが入植した地域です。国後島を追われた引揚者の壮絶な体験を聞いたこともあり、先人の思いを継いで、この地域を守っていきたいと考えています。  現在20名ほどが住んでいるこの集落の住民の多くは70代、80代の高齢者なので、空き家が増えている。空き家は人が住まないと、老朽化が進みます。なので、「使えそうな物件は朽ちてしまう前に手をつけたい」と思い、ゲストハウスの隣にある空き家を購入しました。  ちょうどその頃、「奥尻島に移住したい」という人が現れたので、仲間で改修し、多目的シェアハウスcocokaraをオープンしました。これまでの移住者は10名以上。現在は3名が住んでいます。

「島には何もない」は本当か

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2021年に購入し、オープンした多目的シェアハウスcocokara

――外崎さんはブナ林のツアーガイドもされていますね。 外崎:はい。奥尻島の面積の8割を森林が占めていて、その内の6割がブナの木です。しかし、移住当初はブナ林が全く活かされていませんでした。なので、2019年からブナ林ガイドツアーを企画し、2021年には「北海道知事認定のアウトドアガイド」(自然)を取得しました。  僕は奥尻島が大好きで、50年後、100年後も続いていってほしい。そう考えた時、自分のことだけをやっていてはいけない、奥尻島の良さを後世に伝えていく必要があると感じました。奥尻島に移住してから、「島には何もない」という島民の声が気になっていたんです。  島ならではの良さを知った上で「都会のほうがいい」と思って島を出ていくならよいのですが、それを知らないまま進路を決めるのはもったいないな……と。そこで、学校に奥尻島の自然教育を提案し、ボランティアで授業を行っています。このブナ林に囲まれた島で生まれ育ったことに誇りを持ってもらえるといいですね。
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1本の木から人間が学ぶべきことがある
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大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle

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