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“北海道の限界集落”にあるゲストハウス。周りに何もないのに「年間売上は1000万円超」オフシーズンも予約が埋まるワケ

1本の木から人間が学ぶべきことがある

imacoco

奥尻島の小学校で「木育」について授業を行う外崎さん

――外崎さんはブナ林のツアーガイドもされていますね。 外崎:もともと僕は自然が大好きだったわけではありません。初めてブナ林を歩いた時も、当時は知識もなかったので感動を味わうこともなく、ただ歩いていた。でも、この森を好きになりたいという気持ちがあった。その後、勉強していくなかで木1本から人間として学ぶべきことがあると知り、面白いなと。それを伝えていきたいと思いました。  以前は奥尻島の観光客誘致の最大コンテンツが「ウニとアワビを食べに行こう」だったんです。全国どこからでも美味しい食べ物が入手できる今の時代において、旅行代を払って現地に行かなくても、近くの高級なお寿司屋さんで新鮮な海鮮物は食べられますよね。でも、現地に行って食べることに特別な意味を感じられれば、人は来る。その特別な意味を伝えられるのがガイドの役割だと思います。

奥尻島は人生を引き算してくれる場所

imacoco――次々と新しいツアーを企画したり、新しいチャレンジに挑み続ける外崎さん。その自由な発想はどこから湧いてくるのですか。 外崎:奥尻島に移住してから鍛えられたのかもしれません。ないない尽くしの生活を送るなかで、「ないもの」より「すでにあるもの」に目を向けたほうが幸せだという感覚が身につきました。  海で流木を見つけると、「面白そうだな」と思って持って帰り、ゲストハウスのインテリアの一部として活用したりしています。運ぶのに苦労しますが……。でも、既製品を買うより、楽しいですよね。  奥尻島は人生を引き算してくれる場所だと思います。余計なものが自然に削ぎ落とされ、本当に自分が大切だと思うものだけを残してくれるんです。限られた物しかないからこそ、自分のアイデアでより楽しく暮らす方法が見つかるのかもしれません。
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自由な生き方を目指すには…
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大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle

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