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大学入試「総合型選抜」に特化した塾では何を教える? 代表を直撃

選抜入試という選択肢が救いに

受験勉強 そんな彼女を救ったのは、選抜入試という選択肢でした。 「同級生がみんなそこそこの大学に行く学校ではありましたし、自分もいつかは大学に行くという意識はあったんです。ですが、成績がボロボロの自分には一般入試は無理だとも思えました。大学に行くなら、選抜入試しかないと思っていたんです。たしかに、無理かもしれないと思うときもありましたが、基本はポジティブに『なんとかなる』と考えるようにしていました。そのせいで、母からは『なんでそんなに自信があるのか分からない』なんて言われてしまったんですが(笑)」  選抜入試は、河上さんのように、あふれんばかりの才能を持ちながら、ペーパーテストではその才能が測れないようなタイプの学生にとって、救世主のような存在になります。一般入試では太刀打ちできないような大学にでも、自分の積み重ねてきた実績や燃え上がる意欲を評価してもらえれば、入学のチャンスがあるからです。  もちろん、実績があるからと言って100%合格できるものではありません。河上さんの場合は、その低すぎる学校の成績が足を引っ張っていました。選抜入試では、学校の評定も審査の対象に入るのですが、評定平均が2.5しかなかった彼女は、他の受験生に比べて大きなハンデを背負っていたのです。  過去の合格者の評定平均は、4.5~4.8などかなり高く、河上さんのほぼ2倍にもあたります。赤点ギリギリだった河上さんは、先生からも「滑り止めが第一志望だと思え(=今の第一志望はほぼ無理だからあきらめろ)」と警告を受けることもあったのだとか。

特殊な試験対策

 持ち前のポジティブさによって逆に奮起した河上さんは、猛然と対策を始めます。その対策も、一般入試をしている我々からは想像もつかないような特殊な試験対策でした。 「選抜入試では、志望理由書という書類に、自分がなぜその学部を志望しているのかを1,000字程度でまとめる必要があります。あとで志望理由書の内容を基にした面接が待っていますから、ここで適当なことは書けません。私は積み重ねてきた課外活動の実績から、たくさん書くことがありましたが、普通に学生生活を送っているだけの人は、ここで相当苦労すると思います。コツとしては、文章をうまくまとめるために新聞の社説を読み漁ったり、書き写したりしていました。また、志望大学から出ている入門書は、かなり読み込みました。『あなたの大学で学ぶ準備ができていますよ』とアピールになるからです」  河上さんは、選抜入試の魅力を「誰にでも可能性があること」だと説きます。絶対に一般入試では入れないような学力帯の生徒でも、この選抜方法ならば入学できるかもしれない。推薦入試ならば、学力に左右されずに、自身の積み重ねてきた実績で勝負をすることができるからです。  偏差値には表れない、より実践的な部分を評価してもらえる。選抜入試は、就活と同じようなプロセスで行われますから、受験生の将来のためにもなる。だからこそ、彼女は大学入学後に今の仕事に就いたのだといいます。  受験も就活のような時代に入りつつある現在。これからは大学を目指す形も多様化してくることでしょう。机の上で勉強する、という形は、もう時代遅れなのかもしれません。 【詳しくはこちら】⇒「東大生インタビュー クラウドセンバツ塾長 河上明夢に聞く!評定平均2.5の私が、無謀とも言える挑戦をした理由」はこちらへ
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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