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大学受験は「総合型選抜(旧AO入試)」重視の流れに。東大生が考察

 みなさんは「入試」というと、どんなイメージを持たれるでしょうか? ペーパーテストがあって、必死に勉強して入るもの、そんな想像をなされるかもしれません。  筆記試験や口頭試験が用意されていて、これに合格すれば入学できるというスタイルの入試のことを、「一般選抜型入試」といいます。  しかし、2023年現在では、このような入試はむしろ少数派になってきています。必死に勉強してきた成果を試験用紙に書き綴って入学する。そんな入学の方法は、もはや古いものになってきているのです。  本日は、令和最新の入学試験事情についてお伝えしていきます。

写真はイメージです

入試の方法

 大学受験における選抜方式は、メジャーになっているものが三つあります。ひとつは、「一般選抜型入試」といい、用意された入学試験を解いて合格点を取ることができれば入学が許可されるという方式のものをいいます。  残りの二つは、「学校推薦型選抜」と「総合型選抜(旧AO入試)」といいます。これらは紙の試験ではなく、高校まででやってきたことの実績や、教授との面接、内申点などによって合否が決まる選抜方式となっています。  みなさまが思い浮かべる「入試」は、おそらく一般選抜型入試でしょう。しかし、2022年に文部科学省が公表した「大学入学者選抜の実態の把握および分析等に関する調査研究」によれば、これらの3つの入試方式のうち、一般選抜型入試によって大学へ入る人は、少数派になっていることがわかります。  この資料によると、49.7%の受験生が一般選抜型の入試を利用して大学へ入っているというのです。そして、学校推薦型選抜を使っている人が31.0%、総合型選抜を使っている人が19.3%と続きます。いまや、「入試問題を解いて大学に入学する」方法は、マイノリティになっているのです。  2020年度の時点では、52.2%で多数を占めていた一般入試ですが、なぜ2022年までの2年間で学校推薦・総合型選抜に抜かれてしまったのでしょうか。

総合型選抜とは

 そもそも、総合型選抜とは、各大学が、それぞれ定めたアドミッションポリシー(大学側が求める人物像をまとめたもの)にあった学生を探すために、受験生を様々な視点から多角的に評価して選抜するという方式です。ペーパーテストの点数で合格点が取れれば合格、という学力だけを重視した従来の方法とは異なり、高校生時点での活動実績や、大学への志望理由、進学後の研究計画などまでを評価するため、受験生の総合的な評価が可能となっています。  なぜ一般選抜ではなく総合型選抜を重視するようになったのか? これは、それぞれの大学が、学力以外の面まで重視するようになったことが原因として挙げられます。  従来のペーパーテストでは、極論を言えば、やる気のない学生であっても、学力さえ足りていれば、入学することができていました。ですが、総合型選抜では、なによりも学生の主体性をみて判断します。その学生が、どのようなことに興味を持って取り組んできたのか。大学に入学してからも何について研究を続けていくつもりなのか。なによりも、その学生は主体的な個人として、研究活動を続けていくことができそうか否か。  目の前に与えられる勉強を解き続けていればいい高校までとは異なり、大学以降で学生に求められるのは、自分から研究対象を見つけ、のめりこんでいく姿勢です。総合型選抜では、この姿勢を見ることができるため、各大学は重視するようになっているのです。  実際に、難関大学と呼ばれる大学群においても、総合型選抜を重視する流れはできています。たとえば、法政大学は現在30%以上の学生を推薦入試方式でとっており、いわゆるGMARCHや関関同立と呼ばれる大学群のくくりでみても、学校推薦や総合型の選抜の枠はどんどん増加しています。  さらに、早稲田大学はこれらの入試方式で学生をとることに意欲的であり、2026年までに、入学者全体の6割を推薦型入試で募集することを目標として掲げています。このように、推薦型入試は大学受験の本流となりつつあります。 【詳しくはこちら】⇒「総合型選抜(旧AO入試)ってなに?受かる人の特徴を徹底分析!」はこちらへ
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選抜型入試が本流に!?
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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