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「温暖化でサンゴが絶滅」は“ウソ”だと言える衝撃の理由

生物は形質に適した環境を探して生きていく

驚きの「リアル進化論」 ネオダーウィニズムの考えでは、一度の遺伝子の突然変異だけでいきなり水中の環境に適応できるわけではなく、繰り返し突然変異が起きて、徐々に徐々に進化するわけですから、環境にうまく適応する体になるまでには相当の年月を要するはずです。  ちゃんとした脚があるうちは陸地で生きるほうが明らかにラクなのですから、水中にとどまって徐々に適応的な変異が起こるのを待つより、とにかく陸地を探して生きやすい場所に早く戻ろうとするのが、動物の本能ではないかと私は思います。  植物の場合は基本的には自ら動くことができませんが、種子を広い範囲に飛ばすことができますし、珊瑚のように海中を漂っている生物(刺胞動物)なら、生息場所を変えることは可能でしょう。  現在、珊瑚の生息場所は千葉県とか神奈川県より南だと言われていますが、珊瑚の化石は宮城県あたりまで見られます。つまり珊瑚は、かつてはそのあたりに生息していたものの地球がどんどん寒くなって棲みづらくなり、その後、南のほうに撤退していったということなのでしょう。  このまま温暖化が進んでしまうと暑さに耐えられずに珊瑚が滅んでしまうなどと過剰に心配する人がいますが、暑いとなればまた、北のほうに移動していって、自分がいちばん生きやすいところに群落を構えるはずです。  間違っても暑さに耐えながらその場に居座り、そのまま滅んでいく、なんてバカなことをするはずがありません。  そもそもの話、「偶然起きた突然変異のうち、その環境に適応的なものが生き延びて、適応できなかったものが滅んでいく」というよりも、「さまざまな突然変異が起こり、その場に適応的なものはそこで生き残り、不適応なものはより生活しやすい場所に移動していった」と考えるほうが現実的ではありませんか?  このシナリオのほうが生物の多様性を説明する理屈としても合理的です。

池田清彦氏が提唱する「能動的適応」とは

驚きの「リアル進化論」 クジラの進化に関しては、 1、突然変異によって、たまたま脚の短い個体が生まれた 2、陸にいると短い脚のせいで敵から逃げられず命の危険にさらされることが多くなった 3、仕方なく浅瀬に逃げ込むことを覚えた 4、代を重ねるうちに脚はより短くなって、ついにはなくなり、浅瀬でも生きづらくなって、大海原に泳ぎ出した  きっとこういう経緯があったに違いありません。もちろん大海原に泳ぎ出す以降の話なら、大きいほうが有利なので、徐々に適応的になっていった(体が大きくなった)という話で十分説明はできますが、脚の生えてるクジラは海の中で生きていくのは困難なわけですから、適応とか不適応を論じる以前の問題なのです。  私はこれを「能動的適応」と呼んでいますが、この例に限らず、生物というのは本来的に、「形質が先に変化して、その形質に適した環境を探して生きていく」ものなのだと思います。 〈池田清彦 構成/日刊SPA!編集部〉
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驚きの「リアル進化論」

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