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地元住民とのトラブル、水難事故…コロナ禍を境に”釣りブーム”が起こる一方で年々釣り場が減少する背景とは

晴れているのに地面が濡れている場所は要注意

ほかに海釣り初心者が注意したいのは、水難事故だ。とくに9月は海が荒れやすい時期に突入する。 「防波堤の釣りでは、落水だけじゃなく、急な大波にさらわれてしまって亡くなるケースも多い。晴れているのに足元がびしょ濡れになっていたら、そこまで波が被っているということなので、釣り場を選ぶときにそういう場所は避けたほうがいいですね。また、釣りをしながら風に吹かれているだけでも体力はかなり消耗します。暑くても羽織れる上着は用意するようにしましょう」 万が一、落水してしまった場合を考えて、ライフジャケットは必ず着用しなければならない。

ライフジャケットは『桜マーク』が付いているものを

「ライフジャケットは、水に反応して開く自動膨張式のウエストタイプとショルダータイプ、あとは浮力体が付いているベストタイプの3種類があります。ネット通販などで安価で売っている商品だと水に落ちたときに開かない可能性があるので要注意。国土交通省の安全基準に適合した『桜マーク』が付いているものを選ぶようにしましょう」 実際に溺れた場合はどのような対処が必要か。 「まずは、パニックにならないようにすること。パニックになって水中で暴れると、疲労してしまい溺れるリスクが高まります。周りに落水を知らせるために、笛を常備しておくといいですね。溺れている人を発見したときには、二重遭難の危険があるので無理に飛び込まない。防波堤にある浮き輪や空のペットボトル、自分のライフジャケットを投げてもいいので落水者が沈まないようにして、118番に電話をして海上保安庁にレスキュー要請をします。子供連れの釣り人が子供にライフジャケットを着用させていないことがありますが、それは本当に危険。水難事故の死因で大きな割合を占めるのは、溺死。実際にライフジャケットを着用しておけば助かったという事故も多いのです」 幼少期の頃に釣りと出会い、釣り歴40年以上という原氏。あらためて釣りの魅力を聞くと、「魚との知恵比べが醍醐味ですね」と語る。 「魚をうまく釣るためには、その日その時の状況に合った釣り場、道具、釣り方を選ばなくてはなりません。その正解を見つけるのが難しいのですが、自分なりに正解だと思った組み合わせで狙い通り釣れると、『釣れた』ではなく『釣った』という感覚が得られます。そこに至るまでの試行錯誤が楽しいんです。いくつになってもここまで本気になれる趣味はなかなかない。僕もいまだに熱中し続けてますから(笑)」 ブームに沸く今だからこそ、釣り人のマナーとモラルを再考すべきだろう。 監修者紹介 原 太一  はら・たいち●幼少期から50年以上、ジャンルを問わず釣りを楽しむアウトドア編集者。出版社勤務時代は数多くの雑誌・書籍・DVDの制作に携わり、ルアーフィッシング月刊誌の編集長も務める。退社後はフリーランスの編集・ライターとして活動中。 取材・文/吉岡俊
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