この公演にはヒャダインこと前山田健一をはじめ、俊龍、原一博、前迫潤哉ら実力派クリエイター陣が楽曲を提供。それだけに、全体を通してバリエーションに富んだ印象を受ける。もっとも、ダンスナンバーからキュートなアイドルソング、歌を聴かせる楽曲などが並ぶ中盤のユニットコーナーはカラフルでありつつ、構成的にはこれまでの48グループの伝統を踏襲しており、その意味では先人たちへのリスペクトも感じ取れた。 ユニットコーナー6曲目「ねえ　横浜のあの子を好きになっちゃったの？」は、いかにも48の公演曲らしい歌謡曲調のメロディを持ちながら、そこに作詞・作曲を担当した前山田のセンスが融合。さらにCRE8BOY振付による躍動感あふれるクセ強ダンスを鎌田菜月、高畑結希（「高」は「はしごだか」）、谷真理佳、福士奈央ら百戦錬磨のメンバーがキレキレに踊るさまはインパクト抜群であった。 そして、最も注目を集めたのが公演後半に設けられた3曲。こちらは欅坂46、櫻坂46ほか多数のアーティストを手掛けることで知られる世界的ダンサー・TAKAHIROが振付・監修を行なったブロック。TAKAHIROとSKE48の邂逅が果たしてどのような化学反応をもたらすのか、開演前からファンの期待は大きく膨らんでいた。 パンツスタイルの衣装を身にまとったメンバーが姿を見せ1曲目の「Loose control」が始まると、ついさっきまで「ねえ　横浜の～」メンバーの面白トークにゲラゲラ笑っていた観客たちが一気に静まり返り、固唾をのむ。林美澪を中心に繰り広げられる、ステージを最大限に使ったフォーメーション移動、全身を使って感情を解放するかのようなダイナミックなダンス――そこには16人の表現者の姿があった。先ほどのユニットコーナーが伝統の継承なら、このブロックは新時代到来の号砲か。間違いなくこの公演最大の見せ場と言っていいだろう。