お金

凱旋門賞に挑戦する「スルーセブンシーズ」の可能性。21世紀に好走した2頭との共通点は?

日本競馬に立ちはだかる最後の壁

競馬

日本馬として、最も凱旋門賞制覇に近づいたオルフェーヴル 
写真/橋本健

 今週は凱旋門賞が行われます。ヨーロッパでも最大のレースの一つとして数えられ、観戦に訪れる方も華やかな衣装に身を纏うなど国際的にも有名なスポーツの祭典。  そして、日本競馬界においては「凱旋門賞制覇」をこれまで目標に掲げ、1969年のスピードシンボリ以来、多くの馬がこれまで参戦してきました。  しかし、結果は2着が最高。日本の競走馬のレベルも上がり、アメリカのブリーダーズカップやドバイワールドカップ、香港スプリントなど数々の栄光を近年勝ち取ってきましたが、いまだ凱旋門賞制覇の偉業は成し遂げられていません。  今年はスルーセブンシーズが参戦。日本競馬界の悲願を達成出来るのかどうか、その可能性について解説していきます。

凱旋門賞最大のポイントは“起伏”

 まずは凱旋門賞についておさらいを。フランスのパリロンシャン競馬場で行われ、距離は2400m。ヨーロッパにおける競馬シーズンの終盤に開催される事もあり、各国のダービー馬などその年の活躍馬が一堂に会するヨーロッパチャンピオン決定戦です。  舞台となるパリロンシャン競馬場は、フォルスストレートと呼ばれる4コーナーに設けられた250mの直線区間が有名。その後に待ち構える最終直線は平坦で、距離は533mと東京競馬場とほぼ同じになります。また、改修後はオープンストレッチと呼ばれる新型仮柵が設置されており、直線で内の進路が確保され各馬の進路取りがスムーズになりました。その結果、近年は内枠有利な傾向が出ている点もポイントです。  ただ、個人的に最大のポイントと考えているのは道中の起伏。直線が平坦なため意外と目が向きづらいですが、実は残り2000mから3コーナーまでのおよそ600mで10m近い上り坂を駆け上がります。そして、3コーナーから残り880m地点までで10mの下り坂という、かなり起伏の激しいコースとなります。  また、ヨーロッパの馬場は時計がかかるというイメージ通り、パリロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞のレースレコードは、2011年にデインドリームが記録した2分24秒49。アーモンドアイがジャパンカップで記録した2分20秒6とは4秒近い差があります。  つまり凱旋門賞を攻略するポイントは、道中の起伏とタフな馬場への2つの対応力だと考えています。
次のページ
21世紀に好走した2頭の共通点
1
2
各種メディアで活躍中の競馬予想家。新刊『安井式上がりXハロン攻略法(秀和システム)』が11月15日に発売された。『競走馬の適性を5つに分けて激走を見抜く! 脚質ギアファイブ(ガイドワークス)』『超穴馬の激走を見抜く! 追走力必勝法(秀和システム)』、『安井式ラップキャラ(ベストセラーズ)』など多数の書籍を執筆。
Twitter:@RyotaYasui

安井式上がりXハロン攻略法安井式上がりXハロン攻略法

(秀和システム)


記事一覧へ
勝SPA! 
おすすめ記事