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凱旋門賞に挑戦する「スルーセブンシーズ」の可能性。21世紀に好走した2頭との共通点は?

21世紀に好走した2頭の共通点

競馬

凱旋門賞に挑戦するスルーセブンシーズ。レースは日本時間の10月1日23時05分発走予定

 日本馬の最高着順はエルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴル(2回)の2着が最高。その内、1999年のエルコンドルパサーに関しては20世紀のものでやや古いので、21世紀に入ってから好走したナカヤマフェスタオルフェーヴルの2頭についてみていきましょう。  この2頭の共通点として、どちらもステイゴールド産駒ということが挙げられます。ステイゴールド自身もそうであったように、産駒は小柄な馬が多く、2頭も460kg台と小柄です。道悪をこなす馬というのは得てして小柄な馬が多いのですが、それはタフな馬場でスタミナを消耗した場合、筋肉量の多い馬は燃費が悪くなる事が原因だと考えられます。乳酸が溜まって動けなくなった筋肉はただの重りでしかありません。これは人間も競走馬も同じです。  また、パリロンシャン競馬場への対応力という点で道中の起伏とタフな馬場への2つを挙げましたが、実はこれらを内包するコースがJRAでも存在すると考えています。それは中山競馬場と阪神競馬場の内回り。この2つのコースはどちらも向正面からゴールへ向かって下り坂というレイアウトになっています。  そして直線には上り坂があるため上がりが掛かり、ヨーロッパの芝に近いタフなレースになりやすい競馬場なのです。  実際にナカヤマフェスタは3歳時のセントライト記念で下り坂を利用してポジションを押し上げる競馬で勝利しています。また、宝塚記念でも同様の競馬で当時の国内最強馬ブエナビスタを差し切っています。オルフェーヴルに関しても有馬記念と宝塚記念で2つのコースを制していました。  21世紀以降に参戦した日本馬において、小柄な馬(国内最終レースの馬体重が468kg以下)かつ中山競馬場と阪神競馬場内回りの重賞を勝利した馬というのはナカヤマフェスタとオルフェーヴル、そしてディープインパクト(3着入線後失格)しかいません。これが日本馬好走の条件と考えてよさそうです。

スルーセブンシーズの可能性

 それでは最後に、スルーセブンシーズの可能性について考えてみます。まず、小柄な馬というのは宝塚記念時点で446キロであった点からクリアしています。なお、父のドリームジャーニーはオルフェーヴルの兄で、お父さんはステイゴールドです。  また、中山競馬場と阪神競馬場内回りの実績についてですが、前者は中山牝馬Sを勝利。牝馬限定戦ではありますがこのレースは非常に優秀で、下り坂にあたる後半6ハロンを69.8秒という同コース史上8件しかない好タイムを記録しています。上がり2ハロンも22.5秒と速く、上り坂も苦にしていない点はヨーロッパのタフな馬場向きでしょう。なお、阪神競馬場内回りに関しては宝塚記念で2着に敗れてしまいましたが、世界最強馬イクイノックス相手に不利がなければという競馬で、実質勝ちに等しい2着だったといえます。  以上の点から、個人的にスルーセブンシーズの凱旋門賞適性は非常に高いと考えています。馬券内…いや、勝利も十分狙えるくらい期待しています。  スルーセブンシーズが日本競馬界の悲願を叶えてくれると信じて、今週末はテレビの前で精一杯応援したいと思います。 文/安井涼太
各種メディアで活躍中の競馬予想家。新刊『安井式上がりXハロン攻略法(秀和システム)』が11月15日に発売された。『競走馬の適性を5つに分けて激走を見抜く! 脚質ギアファイブ(ガイドワークス)』『超穴馬の激走を見抜く! 追走力必勝法(秀和システム)』、『安井式ラップキャラ(ベストセラーズ)』など多数の書籍を執筆。
Twitter:@RyotaYasui

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(秀和システム)

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