仕事

「経費精算の時間が3倍かかる」インボイス制度にサラリーマンからも悲鳴。経理やSEは残業続きで地獄絵図

ウーバーイーツでできた手軽な副業さえ難しくなりうる

『地獄のインボイス制度狂騒曲』』ウーバーイーツ

副業で配達員をしている会社員も少なくない。ギグワーカーの手取りも徐々に減っていくことになるのか

 つまり、隙間時間を有効に使える副業として注目を浴びた配達員やウェブライターなどは大きな影響を受けそうだ。ウーバーイーツで副業をする30代の男性は言う。 「当面は未登録でも良いとウーバー側からアナウンスされましたが、ゆくゆくは未登録者にはオファーが来なくなっていくでしょう。あと配達員の間で『全体的に報酬が下がる』と噂されています。ウーバー側は納税コストが増えた分、何かで穴埋めしないといけないから。制度自体、複雑すぎてよくわからないので、もう潮時かもしれません」  廃業を決意した人もいる。 「副業でウェブデザイナーをしていたのですが、取引先からインボイス登録を求められました。会社にバレるリスクを考え、新規受注はやめました。本業だけだと生活が厳しいので、夜の仕事でもしようか迷ってます」(30代・女性)  前出のJob総研の調査によると、副業を始めた理由は「収入を上げるため」が83.2%。うち「本業だけでは生活が苦しくなった」と答えた人が44.1%にも上っている。

用語解説

適格請求書発行事業者  売り手が買い手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝える「適格請求書(インボイス)」を発行できる事業者のこと。インボイス発行事業者になるには登録申請が必要だが、9月末で締め切られた。登録したら免税事業者も課税事業者になるため、所得税とは別に確定申告が必要になる。 免税事業者  前々年度の課税売上高が1000万円以下で、消費税の申告・納税義務がない事業者のこと。主に個人事業主や小規模事業者が該当し、その数は1000万に達する。 仕入税額控除  売った際に受け取った消費税から、仕入れや経費などで支払っていた消費税を差し引くこと。消費税の二重課税を解消するが、10月からは、支払先からインボイスを受け取らなければ仕入税額控除ができなくなる。
『地獄のインボイス制度狂騒曲』』田村夕美子氏

ビジネス書作家・田村夕美子氏

【ビジネス書作家 田村夕美子氏】 ビジネス書作家。NFP「風を贈る」代表。セミナー講師、財務などのコンサルティングも手がける。著書に『できる経理の仕事のコツ』他
『地獄のインボイス制度狂騒曲』』脇田弥輝氏

税理士・脇田弥輝氏

【税理士 脇田弥輝氏】 税理士。税理士をつけていない人向けの「経費精算カフェ」(高円寺)で一日店長を行うほか、インボイス相談カフェも不定期で実施 取材・文/週刊SPA!編集部 図版/佐藤遥子
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