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ビックカメラを追い抜くのは時間の問題?ヨドバシカメラが仕掛ける“猛烈な攻勢”

業績は、横ばいで推移したのちに悪化

その後はビックカメラ・コジマの両者とも著しく伸びることはなく、グループ全体の規模は横ばいに推移しました。コロナ前にあたる2019年8月期も売上高は8,940億円に留まっています。そしてコロナ禍では外出自粛やインバウンドの激減により業績はさらに悪化しました。2019年8月期から2023年8月期の業績は以下の通りで、特に2020年8期はインバウンド分が304億円も減少し、その後はV字回復を果たせていません。 【株式会社ビックカメラ2019年8月期~2023年8月期】 売上高(連結):8,940億円→8,479億円→8,341億円→7,923億円→8,156億円 営業利益(連結):229億円→121億円→182億円→179億円→142億円 売上高(ビックカメラ単体):5,061億円→4,605億円→4,403億円→4,056億円→4,255億円

業界は飽和も、ヨドバシが追い上げる

ビックカメラが以前から伸び悩んでいたのは、そもそも家電量販店業界全体が飽和状態にあったためです。都市型・郊外型問わず苦戦しており、業界トップで郊外型のヤマダHDも2009~10年度に売上高2兆円台を記録して以降、低調が続きました。都市型もメインとなる駅前に出店しつくした感があり、出店の余地が無かったようです。 ただ、そんな市場環境においても、ヨドバシカメラは近年じわじわと業績を拡大しています。2015年度に6,796億円だった売上高は2019年度に7,000億円を突破し、コロナ禍でも伸びて2021年度には7,530億円となりました。特にECの成功が大きく、10年前に500億円程度だったECの売上高は2022年に約2,200億円となっています。対するビックカメラのEC売上高は、1,500億円弱であり、頭打ち感が否めません。
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ヨドバシが追い抜くのは時間の問題?
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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