更新日:2024年04月24日 14:15
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差別され逃げ場もない“弱者男性”になってしまうのは、本当に「自己責任」なのか?

いがみ合う弱者男性たち

 だが、一見強者に見えるスペックを持つ男性相手になると、とたんに差別の目が光る。別のある男性は、発達障害を抱えながらも、それを隠して働いている。障害をオープンにして働いている男性の平均年収は236万円と言われており、男性正社員の平均である449万円の半分まで落ちてしまうからだ。彼はかなりの無理をして働いており、ストレスで蕁麻疹も出ている。だが、SNSで弱音を吐いても「でも、働けているんでしょ」と冷たく切り捨てられていた。 弱者男性パンデミック 驚くことに、弱者男性を傷つけるのは「強者」だけではない。弱者男性間でも「お前はまだ正社員だから、実家が太いから、体は健康だから、弱者ではない」といったように、より下位のポジションを巡って攻撃し合うのだという。    弱者男性同士は連帯できないのか。何度か当事者の話を聞いたが、結論は身も蓋もなかった。「誰も、キモくてカネのないおっさんと仲良くなりたくはない。それは、同類の男性にとってもそうなのだ」と。差別されている自分自身が、似た相手とは関わりたくない。そうなれば、進む道は孤立しかないのである。

ハイスペック男子でも弱者になる可能性が

 だが、この世には絶対的な強者と、弱者がいるわけではない。実家が裕福でも、ネグレクトに遭い病院にかかれない子供は弱者だ。正社員でも、上司からなじられ、いつクビになるかわからないノルマに追われている人は強者だろうか。年収が1000万円あっても、その大半を妻のカルト宗教に使い込まれている男性はどうか。 弱者男性パンデミック あらゆる人が弱者といえる側面をもち、そして弱者になる可能性をはらんでいる。弱者男性とは「弱い男性」がいるのではなく、男性にも弱さがあることを明らかにするため生まれた言葉である。  これを読んでいるあなたも、ある面では強者男性であり、同時に弱者男性だ。そして、誰かに頼ったり、助けを求めたりしていいのである。
ライター、経営者。主にキャリアや恋愛について執筆。5000人以上の悩み相談を聞き、弱者男性に関しても記事を寄稿。著書に『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)『ハピネスエンディング株式会社』(小学館)。X:@10anj10

弱者男性1500万人時代 (扶桑社新書)『弱者男性1500万人時代』 (扶桑社新書)

データで読み解く“弱者男性国家”ニッポンの現在

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