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麺とスープだけで490円の商品も…“具なし”カップラーメンはなぜ売れているのか

具なしの流行は「マニアには自然な流れ」

筆者のような一般人からすると、どうしても「具がある商品」を選んでしまいそうになる。ただ、行列店を食べ歩くようなラーメンマニアにとっては受け入れやすい流れだと本谷氏。 「ひとつの料理としてラーメンを追求すると、最低限の組み合わせに行き着くことはよくあるんですよ。そういう意味でも、具なしカップラーメンがはやっていることも不思議ではないですね」 ソリッドに麺とスープだけを味わう文化。その火付け役は「かけラーメン」で勝負する、とある人気店だ。 「秋田県角館に本店があり、2014年に銀座にも出店し煮干し系ラーメンとして都内でもいち早くブームとなった『自家製麺 伊藤』です。それまで具のないラーメンは、安さや飲んだ後の軽いシメとして重宝されていたんですが、このお店がオープンしてから『麺とスープをきちんと味わって欲しい』という意味合いでの具なしラーメンが、ラーメン業界に広がっていったように思います。食べる側にも、あえて『かけラーメン』を食べる流れが広がりました」

カップラーメンのクオリティが上がった理由は…

いくらかけラーメンが流行っているとはいえ、大量生産と手軽さを至上命題とするカップラーメン業界での商品化はなかなか進まなかった。そこで訪れたのが、外食業界の頭を悩ませたあの問題だ。 「コロナ禍で外食が制限されてから、カップラーメンの売上も伸びたようですし、美味しさも一気に高まってきました。最近のカップラーメンはお店と比べても十分に満足できるクオリティに仕上がっていると感じます。だからこそ、麺とスープだけで勝負できる商品が生まれているのではないでしょうか」 内食需要の高まりとともに、各メーカーが開発に力を入れて味のクオリティが上がった。それでも超えられない壁があると本谷氏。 「ただ、麺やスープに比べると、チャーシューなどのトッピングの進化はまだまだ追求の余地がありそうです。むしろ『麺とスープだけでいいのに』と思う商品もありましたね
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専門家が「思わずうなった」商品
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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