ニュース

日本人の大半がウクライナ侵略を「予測できなかった」理由が絶望的だった

ネット上の「情報」は「学問」ではない

ロシアとは何か ネットの動画や、SNSでシェアされてきた発言は、「情報」であっても、まだ「学問」ではありません。  また、テレビや新聞のように、しっかりした情報源があり、大組織の正社員記者がレポートし、何重ものチェックをくぐった情報も、必ずしも正確ではありません。  むしろ、もっともらしい外見に惑わされて、事実を把握する妨げになることもあるでしょう。

日本人の「意志力のなさ」が露呈されたウクライナ侵略

ロシアとは何か

※画像はイメージです

 ロシアがウクライナ侵略を準備しているのを刻一刻と目にしていても、明日何が起きるか予測できませんでした。これは私たちの能力のなさを証明してしまいました。  あるいは、「大丈夫だろう」と高をくくり、真剣に予測する気もなかったことを暴露したのかもしれません。意志力のなさが露呈されたのです。  私たちが少しでも歴史を勉強して、学問として身に沁ませていれば、あのときロシアがどう動くかは容易に見通せたかもしれません。  いえ、2014年のクリミア併合にきちんと意見していれば、2022年のウクライナ侵略を防げたかもしれません。  あるいは、予測がはずれたとしても、なぜはずれたか考え、反省し、次の機会に生かすことができたはずです。  予測しようと努力し、間違うことは、何もしないのとはまったく違います。問題が見つかれば、それを修正する機会が見つかったということだからです。 文/宮脇淳子 構成/日刊SPA!編集部
東洋史家。1952(昭和27)年、和歌山県生まれ。京都大学文学部卒、大阪大学大学院博士課程満期退学。博士(学術)。専攻は東洋史。故・岡田英弘(東京外国語大学名誉教授)からモンゴル語・満洲語・シナ史を、山口瑞鳳(東京大学名誉教授)からチベット語・チベット史を学ぶ。東京外国語大学、常磐大学、国士館大学、東京大学などの非常勤講師を歴任。『真実の中国史[1840‐1949]』『真実の満洲史[1894‐1956]』(ビジネス社)、『モンゴルの歴史』(刀水書房)、『最後の遊牧帝国』(講談社選書メチエ)、『世界史のなかの満洲帝国と日本』『中国・韓国の正体』(ともにWAC)、『満洲国から見た近現代史の真実』『皇帝たちの中国史』(ともに徳間書店)、『世界史のなかの蒙古襲来』、『日本人が知らない満洲国の真実』『朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏』
1
2
3
ロシアとは何か

モンゴル、中国から
歴史認識を問い直す

おすすめ記事