短縮ローテの馬が内枠に入って難解に
同距離ローテながら「外枠・差し」に当てはまっているレッドモンレーヴは有力候補
——確定した枠順をみて、どんな印象を持ちましたか?
立川:まず7枠に逃げ候補が2頭入ったことで、外枠主導の隊列(外枠の先行馬が先手を取りに行く隊列)になることが確定しました。外枠主導の隊列では馬群が凝縮しやすくなるので、外からの押し上げが利きやすく外枠差しが届きやすくなります。ここは元々のレース質である
「外枠・差し・短縮・スローペース」にも合致するので、基本は外枠差し馬から組み立てる方針でよいでしょう。
ただ難しいのは、距離短縮ローテの馬がこぞって内枠に入ってしまったこと。短縮馬の中で最も外枠なのが
シュネルマイスターになるのですが、追走面での問題を最も強く抱えている馬なので、本来はもう少し短縮馬に外枠に入って欲しかったですね。
金曜昼段階で馬場状態は重で、クッション値8.5と低い数値。週末雨予報とは言え、今週は月曜から散水されておらず、Cコース替わりでもそこまで馬場が劇的に回復することはないでしょう。京都芝コースは全面に暗渠管が敷かれているので土曜には稍重まで回復するとは思いますが、日曜までに多少内は荒れると見て、内枠の好位中団から競馬をする馬は多少割り引きたいと考えています。
——では、これらを踏まえて、「レース質マトリックス」的な注目馬を教えてください。
立川:まずは、テン3Fが34秒後半~35秒前半で収まるのであれば、外枠主導の隊列で馬群の外をスムースに回せる⑨
シュネルマイスターが筆頭になりますね。内枠に入れば不安が大きかったですが、この枠ならロスを最小限に馬群の外を伸びてこられるはず。距離短縮ローテで持続力を補完して、間に合う位置で直線を向きたいところです。
続いて、同じく距離短縮ローテの⑦
エルトンバローズを挙げます。この馬は上がりの質ではマイル質の馬に劣るので、雨の影響で多少上がりが掛かることがプラスに働きそうです。前走先行→今回短縮は、距離短縮ローテの穴パターンの一つでもあり、7枠2頭が後続を少し離した2列目外を取れそうな並びもよいでしょう。
近年の東京芝は持続力が求められ、
外枠差し有利になっています。前走の毎日王冠でも直線外を差す馬が有利な中、ラチ沿いを先行して押し切ったのは強い競馬だったと見ます。
また、外枠差し馬から⑫
レッドモンレーヴに注目します。2走前の安田記念ではテンの速さについて行けなかった分、伸びきれませんでしたが、テンにゆったり入るマイルCSのほうが向くはず。前走富士Sはテン3F34.0と流れたレースだったので、それを経験したことでいつもより位置は取りやすくなりそうです。上がりの質は上位なので、同距離差し馬からはこの馬を筆頭に取るつもりです。
最後に大穴なら⑮
イルーシヴパンサーを少し。こちらも安田記念を追走できなかった組ですが、前走富士Sで差し有利の流れを珍しく先行して4着。この追走経験に加え、自身の内枠2頭が逃げる並びで好位置が取れそう。3列目の波乱候補としてピックアップしておきます。
取材・文/松山崇
馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。