――ちなみに、“波風を立てない”というポリシーや、“言葉を発するのが苦手”といった点から考えると、表舞台に立つというお仕事は。 馬場：だいぶ乖離してますよね（苦笑）。向いてないなとよく思います。もともと心を開きづらいタイプなんです。開きたくないわけじゃないんだけど、いまいち開けない。だから向いていないと思いながらやっていて。 　でも、以前、ファンの方から私の看護師役を見て、「看護師を目指しました」というメッセージをいただいて。心に届いたという実感と、責任の両方を感じました。 　私自身、映画やグラビアモデルに影響を受けた結果、それを仕事にしています。この仕事って、人生が変わるくらいの力があるんだなって。それにやっぱり私自身、やりたくてやっているので、誰かの楽しみのひとつになってくれればいいし、もちろんやりがいも感じます。 ――ここ数年、さらに魅力を増しているように感じます。「言葉を発するのは難しい」と感じながら、同時に役を演じるうえで、より自身を「開く」場面にも直面するのでは？ 馬場：そうかもしれないです。お芝居を始めたころと、今の自分ってかなり違っていて、ひとつ開けたタイミングみたいなものはあったんですけど、いろんな作品をやればやるほど、より自分が自分に求めることも、どんどん増えていっている気がします。昔とは難しいと感じる部分に違いが出てきているというか。 ――悩めば悩むほど、俳優として素敵になられている気がするので、馬場さん自身は大変だと思いますが、これからも悩みながら、素敵な作品を届けていただけると嬉しいです。 馬場：はい（笑）。頑張ります。 ＜取材・文・撮影／望月ふみ＞ ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X（旧Twitter）：@mochi_fumi