そして「なんとかしたいな」と思っていたななしを誘ったのが「あんのいず」のリーダーだったというわけである。だからこそ誰よりも信じていたし、自身も最後のアイドルとしようと決めていた。その愛情の深さゆえ「裏切られた」という想いはより一層強くあった。 「今はもう吹っ切れましたね。この間は夢にまで出てきて。考えるだけで震えが止まらない状況でした。人間不信なのは変わらないんですが……」 　2023年11月23日、新宿SAMURAIで行われた生誕イベントにはキャパシティギリギリまでのファンが詰めかけ、声を枯らしながらも全力で歌うななしの姿があった。 「アイドルとしてやりきった。けれどもっともっと歌いたい」。 　ななしは次なる目標に向け動き始めた。 「次にステージに立つ時はアイドルではなくアーティストとして新たな道を開いていきたいです」 　これまでの歌って、踊って、時に可愛らしさを表現するアイドルではなくアーティストとして新たな道を切り開くつもりだ。アイドルとして酸いも甘いも体験してきたななしの次なるステージがどれほど輝くものかぜひ見届けていきたい。 ＜取材・文・撮影／ 松原大輔＞富山県出身。中央大学法学部卒。在学中より故・永谷修氏に師事。文藝春秋『Sports Graphic Number』編集部などを経て2018年に独立。執筆活動のほか書籍の編集、YouTube制作、アーティストマネジメント、ライブイベントなどを行っている。Twitter: @matsudai0228