そんなある日、吉田くんの直属の上司Aさんから良からぬうわさを耳にしたといいます。 「Aさんによると、どうやらその後も定期的に行われている飲み会で、何かの勧誘が行われていると聞きました。最近は吉田くんの集まりに全然顔を出してなかったんですけど、ちょっと気になったので久々に部下と一緒に飲み会に参加することにしたんです」 　少し緊張気味で会場に足を運んだ長崎さんは、店の入り口に掲示してあった案内板を見て驚いたそう。 「“吉田くんと未来を育む会”という文言が目に入ったんです。都内の高級中華料理店で、最初の頃に集まった雰囲気とは全然変わっていて、かなり驚きました。飲み会で吉田くんはみんなのテーブルを丁寧にまわり、なにやらパンフレットのようなものを一緒に見ながら談笑しているんです」 　その後、久々の飲み会で手渡されたパンフレット。それはとある宗教法人の案内だったといいます。定期的に行われていた“飲み会”と称する集まりは、宗教への勧誘だったことが判明します。その後しばらくして予想外の出来事が起きたそうです。 「新人、そしてベテラン社員が、ある日辞表を出したんです。もちろん“一身上の都合”なので、詳細はわからないのですが、その後、退職者は日を追うごとに増え、最終的には10名もの社員が会社を去ることになりました。有能な社員もいたので、スルー覚悟でLINEメッセージを送ると、申し訳なさそうにわびる文面と吉田くんの説得に加え、団体の勤務条件が今より良かったということを明かしてくれました」 　その報告からまさに数日後、今度は吉田くんが辞表を出したといいます。入社からわずか半年足らずでの退社となりました。