ベスト10すべてが“合格ライン”の2.0%超え
番組公式HPより
5位以降も見てみたい。
⑤フジテレビ『
うちの弁護士は手がかかる』(金曜午後9時)
コア2・5%、個人3・0%、世帯6・7%
⑥日本テレビ『
ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある』(土曜午後10時)
コア2・4%、個人3・0%、世帯5・2%
⑦TBS『
マイ・セカンド・アオハル』(火曜午後10時)
コア2・2%、個人2・9%、世帯5・0%
⑧テレビ朝日『
家政夫のミタゾノ第6シーズン・最終回』(火曜午後9時)
コア2・1%、個人4・2%、世帯7・1%
⑨日本テレビ『
コタツがない家』(水曜午後10時)
コア2・1%、個人3・3%、世帯5・8%
⑨フジテレビ『
パリピ孔明 最終回』11月29日放送
コア2・1%、個人2・4%、世帯4・4%
プライム帯(午後7~同11時)の合格ラインはコア視聴率が2・0%、個人視聴率が3・0%とされているから、ベスト10作品はほぼ全てが合格ラインに入っている。
『
うちの弁護士は手がかかる』は難しい新設ドラマ枠であったにもかかわらず、常に好数値を維持。この作品も世帯だけで判断しては実力が見えてこない。
ムロツヨシ(47)と
平手友梨奈(22)を中心とする完成度の高いリーガル・コメディ。ザ・ローリング・ストーンズによる主題歌「アングリー」も含め、隙が見当たらない。スタッフ、キャストの都合によるが、続編が作りやすい作品に違いない。
『
ゼイチョー』はコア視聴率が高めの割には個人視聴率が低い。高齢者にはあまり観られないということである。作風が軽いからだろう。もっとも、日本テレビ側は最初からコア視聴率に狙いを定めて作ったはずだ。
同時間帯の視聴率バトル『コタツがない家』vs『パリピ孔明』
番組公式HPより
『
マイ・セカンド・アオハル』の場合、恋愛ドラマに特化したこの放送枠にしてはコア視聴率が振るわなかった。
橋本環奈(24)が主演した今年の春ドラマ『
王様に捧ぐ薬指』は4%以上のコア視聴率を記録している。大差が付いた。
おそらく設定に無理があった。なにわ男子・
道枝駿佑(21)が演じる20歳の大学生と広瀬アリス(29)扮する30歳の大学生が恋人同士になるのだが、すんなりとは受け止められない視聴者が多かったのではないか。30歳と40歳、40歳と50歳のカップルとは事情が違う。
『
家政夫のミタゾノ』は『
ゼイチョー』とは対象的にコア視聴率は平凡だが、個人視聴率がいい。高齢者の視聴者に好まれているからである。
『
コタツがない家』も完成度が高い。
小池栄子(43)、
吉岡秀隆(53)、
小林薫(72)、
高橋惠子(68)とうまい俳優を集め、良い脚本を用意すると、面白いドラマになるという好例。真裏に『
パリピ孔明』という秀作ドラマがなかったら、もっと視聴率を獲っただろう。
その『
パリピ孔明』は『
コタツがない家』に対し、ずっと劣勢だったが、最終回で追い付いた。
向井理(41)演じる諸葛孔明が現代の東京・渋谷に転生し、
上白石萌歌(23)扮するシンガーをプロデュースする物語だった。このドラマも高齢者が多く観るとは到底思えない。世帯視聴率でドラマは判断できないのだ。
個人視聴率、コア視聴率の結果と各局の業績は見事なまでに一致する。ただし、ドラマの質と視聴率は別。でも、視聴率を知っておいて損はないはずだ。
「絶好調」と謳われるドラマが実は誰も観ていないような低視聴率だったり、「爆死」と蔑まれるドラマの視聴率が実際にはそう悪くなかったりするからだ。視聴率の情報は知ったうえでうまく使えばいいのではないか。
<文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員