更新日:2024年01月17日 08:13
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「負けても自分のせいじゃない」岡田武史が明かす、修羅場や大勝負で“開き直る”大切さ

覚悟を決めたら自分の軸がぶれなくなる

岡田武史 その後はコンサドーレ札幌、横浜F・マリノスの監督を歴任し、2度目の日本代表監督になったのは2008年。当時監督だったオシム監督が急病を患い、入院を余儀なくされたことで後継監督に指名されたのだ。  再び日本代表を率いるトップとして指揮を執ると、アジア最終予選を勝ち上がり、2010年W杯南アフリカ大会への切符を手に入れる。  しかし、その後の強化試合では結果が伴わず、マスコミやサポーターからはひどく酷評され、「1勝もできずに予選で敗退する弱小チーム」とレッテルを貼られてしまう。  こうした状況下でも、岡田さんは断じて自分の意思を貫き、一切怯まない姿勢を大事にしていたそうだ。 「ありのままの自分を受け入れ、覚悟を決めたら、ちょっとやそっとのことでは動揺しなくなり、自分の軸がぶれなくなる。『試合で勝つためにどうすればいいのか』というのは24時間、四六時中考えていましたから、どんなに試練が訪れようが批判に晒されようが、結果を出すために、やりきるしかないんです。  そういう意味では、初めてW杯に出場した1998年のフランス大会よりも、2010年のアフリカ大会の方が気持ち的にも楽でした。ネットやマスコミで言われていることも、一切見なかったですし、気にしなかったですね」  劣勢ムードが漂うなかで始まった南アフリカ大会の初戦はカメルーン戦。大事な格上相手の試合に見事勝利を収め、白星スタートを切る。  次戦のオランダ戦は破れたものの、第3戦のデンマーク戦も勝利を果たし、日本代表をW杯の決勝トーナメント進出に導いた。  当初の下馬評を覆した大健闘に、苦言を呈していたマスコミやサポーターからも大きな支持を集め、賞賛されるようになったのだ。  結果的には決勝トーナメントであたったパラグアイ戦に敗れたが、日本代表をベスト16まで導いた岡田さんの采配や手腕は高く評価された。

雑念や邪心を捨て、決断できる状態を作ることが大事

 幾多の修羅場を経験し、ときには崖っ淵に立たされる苦難を乗り越えてきた岡田さんにとって、サッカーの監督で学んだことは何かを問うと、「勝つための“答え”はないからこそ、雑念や邪心を捨てて決断できる覚悟を持つことの大切さ」だと語る。 「プレッシャーのかかる大事な場面で、いかに開き直れるか。思い切って決断できるかがとても大事になります。余計な心配や雑念に心乱されていては、良い決断はできません。自分の進む道を信じ、覚悟ができた状態で決意を固める。このような心構えは、指導者時代に学んだことであり、経営者になった今でも大切にしている感覚になっています」  人生は選択の連続だと言われる。ときには、大事な決断に迫られることもあるだろう。  そんな場合は、心を落ち着かせ、他を顧みずに自分の「意思」や「あり方」を尊重する。そして決断を下し、あとは成り行きを見守る。このようなスタンスを持つのがいいのではないだろうか。 <取材・文・撮影(人物)/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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